最近はホラー映画とかB級映画ばかり観ていたのでちょっと真面目な映画を観ました。
この映画はホロコーストに関わった当時のナチスの人間を対象として行われたアウシュビッツ裁判までの経緯などに焦点を当てた映画です。
ネタバレはしない程度に書きたいと思います。
なので映画情報としては薄っぺらい感じになってしまいます。
ご了承くださいませ。
簡単な説明
ナチスを題材にした映画は世界的にも結構制作されていますが、これはナチスが行った凄惨さを強調するというよりは、第二次世界大戦後のドイツ国内でナチスがどのように扱われていたのか、そして関係者はどのような生活をしていたのかということに焦点が当てられています。
主人公は若い検事のヨハン。
そのヨハンにジャーナリストのグルニカがアウシュビッツで親衛隊として働いていた男が教師をしているとの情報が入ります。
そのような人物が教師になるのは規則違反なのでヨハンはその人物を検挙しようとするのですが、周りからは良い顔をされません。
しかし、正義感あふれるヨハンは検事総長に直談判すると、彼から元ナチスの親衛隊で規則違反をしている人を検挙する計画を任されます。
そして、膨大な資料の中から地道な検挙に向けた作業が始まるのですが、様々な利権や人間関係が絡み思うように捜査が進まない。
感想
この映画はおそらく観る人の国籍によって見え方が変わります。
おそらく「おお、若い息吹が古い体制に屈せず歴史を変えた」と感じる人と「自国でここまで徹底して罪を認め、本気で変わるための改革をしたのか」と考えさせられる人に分かれるのでは。
それはおそらく第二次世界大戦の勝利国か敗戦国で分かれます。
私は歴史の授業で学んだので、第二次世界大戦終戦後に日本で極東国際軍事裁判が行われ、ドイツではニュルンベルク裁判が行われたことは当然知っていますが、このアウシュビッツ裁判が他の裁判と明確に違う点は「アウシュビッツ裁判はドイツが主体となって行った」という点です。
普通に考えたら、戦争犯罪系の裁判は連合国側(勝利国)が裁くのは妥当だよなと思います。
自国だと変な恩赦が出て軽い量刑になる可能性もありますから。
しかし、アウシュビッツ裁判では自分たちの国の人間が行った行為に対して、真正面からぶつかって正当な裁判を行ったというものです。
日本では極東国際軍事裁判でいわゆる戦犯と呼ばれる人が裁かれた直後に、アウシュビッツ裁判と同じような裁判が行われたという記録はなかったと思います。
仮に行われたとしても、ただでさえ日本人はなあなあで事を済ますことが多いお国柄なので、軽い量刑で済ましてしまうことが多発するでしょう。
本映画は正義感で罪を裁くという気持ちと自分たちの先祖(父親や祖父など)の罪を認めるという葛藤などの人間模様が克明に表現されています。
一般的に戦争がらみの映画となると、戦時中の人々にスポットを当てたものが多いですが、これは「戦争が終わった後の人がどのように過ごしていたのか」ということに焦点を当てているので、戦争映画好き以外の人でも楽しめる作りとなっています。
戦争って勝ち負けでは済まないから難しい。