dp2 QuattroはSIGMAのFoveonセンサーのカメラとして販売されていましたが、現在は生産終了となりました。
Quattroセンサーのカメラは現在どんどん生産終了が進んでおりますので、おそらく特定のカメラの生産を止めるというより、Quattroセンサーそのものの生産を止めているんでしょう。
そのため、現在市場に出回っているものがラストになるかと思います。
今回はQuattroセンサーのdpシリーズの中でスタンダードな焦点距離となるdp2 Quattroの長期使用レビューをいたします。
SIGMAさん的には生産終了する前にしろよって話かもしれませんね。すいません…
dp2 Quattroのスペックについて
ほとんど他のdp Quattroシリーズと一緒ですが、一応簡単にスペックなども記載します。
焦点距離 | 30mm (35mm換算で約45mm) |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
レンズ構成枚数 | 6郡8枚 |
画素数 | 有効画素数2,900万画素 |
シャッタースピード | 1/2000~30秒 |
最大撮影倍率 | 1:7.6 |
撮影可能枚数 | 200枚 |
サイズ | 161.4mm(幅)、67mm(高さ)、81.6mm(奥行き) |
重さ | 410g(電池、カード除く) |
dp Quattroシリーズはdp0がレンズが大きく、dp3がフードが大きいため、全体的な見た目の圧迫感についてはdp2やdp1が少なくなります。
よくレンズを収納するときにレンズの逆付けをすると思いますが、dp2 Quattroに関しては常にフードを正位置でつけっぱなしでも邪魔になりません。
上の画像は○L程度の収納しかないカメラバッグですが、小さいカメラバッグにそのまま入れても余裕です。
持ち運びのしやすさについてはdp Quattroシリーズの中でも随一となります。
sd Quattroと比較してどっち買う?
Quattroセンサーのカメラだと他にもレンズ交換式のsd Quattroがあります。
こちらはHがつかない無印であれば現行品としてまだ販売されています。
同じAPS-CのFoveon機としてどちらを買えば良いのか問題ですが、現時点ではdp2 Quattroの方が良いと思います。
理由としては下記の3つ。
- サイズ感が全然違う
- SAマウントの将来性など
- 描写は同じ(むしろdp2の方が良いと感じる時もあり)
まずサイズがsd Quattroとdp2 Quattroは全然違います。
同じ焦点距離になるように30mmの単焦点をつけるとsd Quattroの方は小さいバッグにはまず入らないです。
そして、sd Quattroで利用するSAマウントも将来性がない(というかSIGMAが公式でもうSAマウントのカメラは出さない)と名言しているので、今からSAマウントのレンズを買い漁るのはあまりおすすめできないかなと。
当然、それを了承した上で使うなら問題ないですが。
最後に描写性能です。
sd Quattroもdp2 Quattroも使用しているセンサーは同じとなるので描写も同じ。
むしろdp2 Quattroは一体型カメラ用としてレンズ設計がチューニングされているため、sd Quattroより歩留まりや描写が良いと感じる瞬間もあります。
つまり、よっぽどレンズ交換をしたい方以外は基本的にdp2 Quattro(あるいはその他のdp Quattroシリーズ)を買うのが良いかと思います。
dp2 Quattroは意外とカメラ初心者向けかも
そこまでがっつりと写真をやったことがなかったり、または、これから写真を始めようとしている方にdp2 Quattroは扱えるのかという話ですが、私は意外と初心者向けなんじゃないかと思います。
ただ、これは「初心者の人でも簡単に楽に撮れるよ!」という意味合いではなく、「写真の技術をすぐに向上させるには良いカメラなんじゃないか」という意味です。
その理由は下記の6つ。
露出に対しての意識がしっかりつく
FoveonセンサーのカメラはISOを抑えながらの撮影になります。
そのため、絞り・シャッタースピード・ISOのバランスを考えながら適正露出を上手く設定する必要が出てきます。
つまり、スマホや最新の一眼カメラと比べて頭を使いながら撮影をする必要があります。
それぞれの関係性と自分のイメージする撮影結果にどれだけ近づけられるかのせめぎ合いとなるので、わりと早い段階でマニュアル撮影もできるようになると思います。
これができるようになると「なんかよくわからないけどブレてる」とか「思ったよりノイズがひどい」など初心者がよくやりがちな失敗を防ぎやすくなります。
焦点距離が45mと扱いやすい
dp2 Quattroは35mm換算で45mmの焦点距離となり、いわゆる標準域のレンズとなります。
広角寄りのdp0やd01、中望遠のdp3と比べて扱いやすい焦点距離となっています。
45mmは被写体に寄ったり引いたりしながら構図を整えやすいため、単焦点での扱いにまだ慣れていない人でもとっつきやすいと思います。
手ブレをしない構え方を意識する
dp2 Quattroは手ぶれ補正がついていません。
そのため如何にしてブレが発生しないような構え方をすれば良いのかなどを意識します。
昔から手ブレをしないシャッタースピードは「1/焦点距離」と言われていますが、Foveonセンサーを使っていると、手ぶれ補正なしでもそれ以下で撮れるようになります。
私の場合はdp2 Quattroなら1/20くらいまではシャッタースピードを下げて使うこともあります。
この感覚に慣れておくと他のカメラを利用する時に手ブレの失敗写真がほぼ出ないようになります。
確実にスマホでは味わえない写真が得られる
スマホカメラも進化はしていますし、良い写真は撮れるようになりました。
そのような話でよく「もう一眼カメラは必要ない」というネタ話が出てきますが、Foveonセンサーについては多分今後もスマホで同じような写りをする機能は搭載できないんじゃないかと思います。(物理的に大変なので)
例えば数世代型落ちのエントリー機を買って写真に撮ったら「意外と今のスマホと変わらない?」と感じてしまう瞬間が出てくる可能性は0ではないです。
でも、dp2 Quattroを使うと明らかに違う写真だという感じるはずです。
この違いをはっきり感じ取ったら、あえてカメラを持ち出す理由ができると思います。
カメラが軽いので持ち運びで億劫になりにくい
初心者の方でよくあるカメラを使わなくなった理由が「重くて邪魔だから」
わかるわかる。それはよくわかる。私も今でも一眼を持ち運ぶ時は重くて邪魔だと感じることはあります。
だからこそ、dp2 Quattroのような軽いカメラだと持ち運びが苦にならないんじゃないかと思うわけです。
お前本当にコンデジかよとツッコミをしたくなるフォルムですが、一眼カメラと比べると軽量ですし、毎日の通勤カバンにいれていても負担はほぼないです。
軽いは正義。
明らかに普通のカメラに見えないので話のネタになる
「こないだからカメラ始めたんだー」って友達と話をしている時にdp2 Quattroを出したら明らかに異質です。
どんなカメラなのか聞かれて答えたら十中八九「なんでそんなカメラ買ったの?」と言われてしまうでしょう。
でも、その時に自分がどんな所に惚れ込んでdp2 Quattroを買ったのかと熱く語れば、周りの人も「こだわり派なんだなあ」とやや引き気味になりながらも納得してくれるはずです。
SIGMAのカメラは使い勝手で見ると候補には入りにくいため、心の琴線に触れるものがないと買わないメーカーです。
それをはっきり他の人に説明することで、改めて愛着が湧いてくるというのはあります。
ネタのような本当の話。
【作例】dp2 Quattroで撮った写真など
ここで何枚かdp2 Quattroで撮影した写真を何枚か紹介させていただきます。
私は基本的にRAWで撮影をしてSPPで少し現像をするので、撮って出しではないことはご了承ください。
ただ、正直ほとんどいじっていないのでdp2 Quattroの色や描写のついては感じていただけるかと思います。
めちゃくちゃ写る。ビビるくらい写る
dp2 Quattroはカメラサイズが小さくて取り回しの良いカメラっぽく見えますが、中身はれっきとしたFoveonセンサーなので「AFが遅い」「高感度に弱い」という弱点は相変わらずです。
しかし、しっかりと適正露出で撮影できた時の描写は明らかにコンデジの領域を超えたものです。(そもそもこれはコンデジなのかどうか問題はありますが)
Foveonの写り自体には慣れている私ですが、いまだに「こいつめちゃくちゃ写るな…」と感嘆することはあります。
SIGMA fpからFoveonに興味を持った人はここを抑えよう
SIGMA fpでSIGMAのカメラに魅入られた人が最近dp Quattroシリーズを購入しているというケースをたまに見かけます。
fpは色味をかなりFoveonに寄せていますが使いやすさの点ではFoveonよりfpの方が圧倒的に楽です。
これからdp Quattroシリーズを購入しようと考えている人は下記の点を押さえておくといいです。
- 撮って出しは使えないケースが多い
- AFはfpよりも遅い
- 書き込み速度がべらぼうに遅い
まず、Foveonセンサーのカメラの場合はSPPでの現像がほぼ必須となります。
撮って出しでも使える写真は出てきますが、fpと比べて色味がかなり不安定です。ホワイトバランスが「なんでそんな色温度になったの?」という色になることが多いです。
シャッターを切るたびにホワイトバランスを調整するような方は少ないと思いますので、現像を前提に運用をするのがおすすめです。
また、AFとSDへの書き込み速度がめちゃくちゃ遅いです。
一枚撮って数秒感呼吸をおいてからもう一枚撮るイメージ。
生産終了となるため基本的には中古。状態確認はしっかり注意しよう
冒頭でもお話をしたようにdp2 Quattroは既に生産終了となっているため、手に入れるためには市場に出回っている中古を探すことになります。
この時に気をつけることはチリなどの混入がないかはしっかり確認することです。
一眼カメラであればセンサーの掃除で簡易的な清掃はできますが、レンズ一体型は自分で清掃は不可能です 。
明らかに写真に影響が出るような状態だと会津工場へドナドナとなるため、追加での出費が発生する可能性が高いです。
ボディの擦り傷くらいは写りに問題ないですが、コンデジにおけるチリ混入は致命的なので、ここだけは販売元・出品者などに確認をしましょう。
デジタルなフィルム体験を味わいたい人はdp2 Quattroをどうぞ
最近はフィルムも人気ですが、Foveonのカメラにはそれに通じるところもあるんじゃないかなと勝手に思ってます。
使い勝手は他のカメラよりも面倒だしISOも上げられないし、というのはなんとなくフィルムっぽいなと。
ただ、フィルムみたいに取った写真をすぐに見れないことはないし、RAW現像で後から補正もできますから、各工程の面倒さも踏まえてデジタルとフィルムの間みたいな面白いカメラだと感じています。
フルサイズのFoveonは一応開発は止めていないようですし、いつかは出すと思いますがまだ先の話になりそうなので、まずは手軽にFoveonを体験したい方はdp2 Quattroがおすすめ。
フルサイズの高画素機にも負けないくらいバッキバキに写るので、価格を考えるとかなり安いと感じることもあります。※1個人差があります。
dp Merrillシリーズは未だに中古で値崩れがそこまで激しくないですし、おそらくQuattroシリーズも同じような感じなのかなと推測します。
だからもうちょっと待って値段が落ちてから試してみると考えていても、結果的に数年後も中古相場がそんなに変わってなかったということはありえます。
でも、今買えば購入してから使い続けられるので実質無料※2カメラ界隈ではよく言われているネタ。購入してから数年間使うことを考ええて日割りすれば実質無料!です。
時間が経てば経つほど状態の良いものが見つかりにくくなると思おうので、とりあえずFoveonを試してみたいなと考えている方はdp2 Quattroをぜひ使ってみてください。
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