SIGMA fpのRAWファイルの形式はDNGとなります。
DNGとはAdobeが開発したRAWファイルであるため、FoveonセンサーのカメラのようにX3FからTIFFに変換をしてLightroomへ取り込み…
という面倒な過程を踏まなくても直接Lightroomのカタログへ入れることが可能になります。
ただ、過去にFoveonのカメラ※1QuattroシリーズはX3FではなくDNGでの保存も選択できます。でX3FからTIFFに変換をしたデータとDNG保存したデータを取り込んだ時に画質の変化があったため、fp Lでも一回SPPを挟んでから現像した方が良いじゃない?という疑念が出てきたので検証してみました。
結果としてはSPPを挟んだ方がfp Lのポテンシャルを活かせるという結論になりましたが、正直微々たる差ということもあるので、運用面での利便性を考えてSPPを使わないという選択肢もありかと思います。
検証内容の環境など
どのような環境で検証をしたか簡単に記載いたします。
まずはカメラとレンズです。
レンズ:SIGMA 45mm F2.8 DG DN Contemporary
検証するカメラは当然のことながらSIGMA fp L、レンズは45mmのContemporaryです。
続いてどのような状態の写真を比較したかについてです。
SPP経由でTIFFに変換した後にLightroomへ取り込んだ時の処理 | SPPで開いた後に何も補正せずにTIFF書き出し その後Lightroomへ取り込み(この時もRAWデータはいじらず) |
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Lightroomへ直接取り込んだ時の処理 | DNGファイルを直接Lightroomへ取り込み RAWデータは補正しないまま |
今回の検証は単純にSPPを通すのが良いのかどうかを比較するものなので、SPPでもLightroomでもデータの補正はしません。
ただ、SPPを経由した場合はTIFFとして書き出されるので、Lightroomへ取り込んだ時のファイル形式は変化します。
最終的にはLightroomで取り込んだ状態でどうなるのかという比較をする形です。
現像過程の違いによる写真の比較
ここからは実際に画像を見ていただきたいと思います。
どの比較画像も、右側がSPP経由のTIFF、左側がDNGを直接取り込んだ写真です。
検証1
撮影時の設定は下記のとおりです。
F値:8.0
ISO:100
TIFF経由の方が空のコントラストが強めに出ていますね。
では描写の確認ということで柱の所を拡大してみます。
SPP経由の方がシャープに写っています。
拡大するところを木々の所にしてみたいと思います。
やはりSPP経由の方がシャープですね。
DNG経由の方はややのっぺりしていてディテールが喪失しています。
検証2
撮影時の設定は下記のとおりです。
F値:8.0
ISO:100
まず設定同じなのに色味が違うという。
Lightroomに直接取り込んだ方は色がかなりあっさりしています。
そしてまたしても拡大。
検証1で行った時と同じようにSPP経由でTIFF書き出ししたファイルの方がシャープです。
色味の違いもあるので、その違いに意識がやや引っ張られてしまうかもしれませんが結構違います。
これ大きいディスプレイで見るともっとわかりやすいです。
検証3
撮影時の設定は下記のとおりです。
F値:8.0
ISO:100
建築系の写真はこういう比較をする時に大変重宝します。
こちらも引きでは差をあまり感じませんが、拡大してみると…
今回のケースもSPP経由の方がシャープ。
この3つ目の検証結果を見た時点でほぼ確信しました。
fp Lは最終的にLightroomへ取り込むとしても、SPPを経由した方がシャープです。
というか、Lightroomに直接取り込むとぼやっとするという方が正しいのでしょうか。
このあたりはソフトのアルゴリズムとも関係ありますし、画像を取り込む時の技術的な話はわかりませんが、少なくとも3つのパターンで検証をして結果が同じでした。
検証4
撮影時の設定は下記のとおりです。
F値:4.5
ISO:100
最後はちょっとテイストを替えてみました。
今まではF値を絞って撮影をしていましたが、今回は開放で撮影をしています。
まあ、今回も色味がまず結構違いますね。どっちの色が良いかは意見分かれそう。
そして拡大画像がこちら。
今までの検証とは異なり、今回はパッと拡大画F像を見てわかるという感じではないですね。
ただ、よく見てみると花のエッジの部分(表現として正しいか微妙ですが)は少しSPP経由の方がシャープです。
ちなみに、色味に関してはSPP経由の方が実際の花の色に近いです。
Lightroomへ直接取り込んだ方は彩度が高くなっていますね。これはこれでありだと思いますが。
解像度を求めるならSPPを使おう
シャープに写っているかどうかが写真の全てではないと思いますが、少なくともfp Lを使うようなユーザーそうはある程度シャープに写ってくれることを期待して使っていると思います。
そのため、fp Lの解像度を遺憾なく発揮したい方はSPPで現像を完結させるか、TIFFで書き出してLightroomやPhotoshopで内容を詰めるのが良いでしょう。
DNGでLightroomに取り込んだ写真でテクスチャなどの値を調整すればSPP経由の写真と同じくらいシャープに写るかもとは思いますが、SPP経由と比べて少しもやっと写ってしまうのはなんとなく避けたいです。(気持ちの問題)
こんなニッチな情報を誰が喜ぶんだと頭に疑問が浮かびましたが、備忘録的にこの内容を残しておこうかと思いました。
当然、環境や被写体によって差は出てきますが、多分fp Lだけじゃなくて無印のfpもこの傾向は同じなんじゃないかと思います。
これからSIGMA fpシリーズを購入検討している方はSPPを使うべきか使わなくてもいいかと運用方法を決める一つの判断材料としてこの記事をご利用ください。
補足説明
↑1 | QuattroシリーズはX3FではなくDNGでの保存も選択できます。 |
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