日本のソシャゲガチャが抱える問題点と課金の善悪について考察

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現在、世界中でスマートフォン向けのソーシャルゲームがリリースされています。

特に日本はここ2年程でソーシャルゲームの伸びが物凄く、新しいゲームが発表されては古いものが廃れ、また新しいものが開発されるという群雄割拠になっています。

2015年にはパズドラとモンストが収益額で世界のゲームアプリトップ2位と3位にランクインするなど、日本人のアプリに対する課金額というのは世界でも屈指のようです。
ちなみに1位はクラッシュ・オブ・クランです。

据え置き機は持ってないけどゲームは好きという人口が完全に生粋のゲーマー人口をひっくり返しているわけですが、スマホゲーム(特に買い切りではなく基本無料のソシャゲ)が時折社会にとってマイナスというイメージとして表現される時があるのでソシャゲ課金云々についてあれこれ書きます。

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日本のソーシャルゲームブームに暗雲が立ち込める

きっかけはグラブルでしょう。

グランブルーファンタジー

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この騒動が起こる前からソシャゲ課金に対する危機感というか「これ行きすぎじゃないの?」って疑問視されることは多々ありましたが、このグラブル騒動によって「いくらガチャを回しても手に入れる確率は限りなく低い」という事が公に出た形になります。

以前は、どのレアキャラ・アイテムがどの程度の確率で出現するのかという細い設定は公表されていなかったため、どの位課金をすれば出るのかとうのがブラックボックスになっていました。
そのため実際に手に入れた人が「この位課金しました!」って言わないと現実が見えないんですよね。

そんな状態で、実際にグラブルのガチャの現状を見たユーザーや一般人が「今のソシャゲおかしいだろ」って思わずにはいられないというのは至極当然だと思います。

ソシャゲは儲かる

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開発側としてはソシャゲは金のなる木であり、大ヒットすればまさにアメリカンドリーム的な成功を収める事ができます。
mixiなんてFacebookTwitterの台頭で完全に取り残されてましたが、モンストで大ヒットしたおかげで株価もすごい急上昇しましたし。

ソシャゲの課金の旨味は「あくまでデータを配布しているだけ」ということであって、いくら多くの人が手に入れても際限なく配布できるという点でしょう。
現実世界の物販取引だとレア物というのは数量が決められていて、その少ないパイに対して大人数が押し寄せることで価値が上昇します。
ところが、ソシャゲはそんな数量は決められていないので、単純に確率で当たるか当たらないかの違いが出るだけです。
例えば、袋の中に10個の玉が入っていて、1つ当たりがあるとしたら、最初の人が当たりを引く確率は1/10、そしてその後引く人は1/9というように段々と当たる確率が上昇してきます。
しかし、ソシャゲの場合はどんなにハズレを引こうが決められた確率は変動することはありませんので、常に可能性が希薄という事になります。

しかもいくらレアキャラと言っても、少し経つと手に入れている人が着実に増えていくので、本当の意味での希少価値は段々と薄れていくこととなります。

そうなると今度は「もっと強い新しいレアキャラを作ろう」だとか「コラボの限定キャラを配布しよう」などで、簡単に常にユーザーが課金をしたくなるような環境を作り出せるので、まさにお金を刷ってるという状態になるのです。

ただし「ヒットすれば」という前提がありますが。
ヒットしないソシャゲはすぐにサービス停止したりするので、有名になる前にストアから消えてるなんてことは珍しくありません。

お金を払うという本質

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グラブルの騒動が起こる前から課金をするユーザーに対して「課金厨」など揶揄される呼び方があり、あまり良い意味で課金という言葉が使われていなかったと思います。

課金をすることなくプレイをして、地道にキャラを強くしたり、内容を充実させてきたユーザーからすると、途中から入ってきたのにお金の力で自分より良い環境を整える人に対して「ずるい」と感じるかもしれません。

しかし、冷静に考えて課金してるユーザーは別にずるくないんですよね。

良い環境を手に入れるための対価としてお金を払っているので、別に悪いことをしているわけではありません。

別の例えにすると電車で東京から大阪まで移動するのに「鈍行を使う」か「新幹線を使う」という選択肢があるのと同じです。
通常より多く支払いをすることで「移動時間の短縮という価値」を購入してるんですね。
要するに時間を買っているのです。
あと快適さも要素してあるかもしれません。

ソシャゲも同じで、地道にガチャをするか課金をして一気に好きなキャラを手に入れるのかの違いだけです。
自分の生活に影響が出ないレベルであれば、1万だろうが100万だろうが課金額は構わないと思います。
人によって自分が娯楽に費やせる金額は違うので、一概に「◯◯円注ぎ込んだからあいつはおかしい」という批判は難しいです。

現在のソシャゲの問題点

投資目的と結果の乖離が激しい

先に述べたように課金をするという行為自体は卑下されるものではないですし、経済を回しているので資本主義的には賞賛されるべきだと思います。
しかし、現在日本で人気のソシャゲが抱える問題点は「課金をしてもユーザーが満足する良い結果になる可能性が低い」という点です。

先ほど電車の例えをしましたが、これは支払い方法を変えても「目的地に到着する」という確固たる結果があります。
これがソシャゲの場合だと新大阪行きの新幹線に乗りたいのに行き先は新青森だったとかそういうレベルの話になります。

「新幹線のチケット」は購入できるのにその行き先がわからない状態なのです。
それなんて桃鉄?って感じです。

煽る運営と高揚感

運営も慈善事業でゲームを配信しているわけではないので、なるべくユーザーを煽って課金をしてもらおうという姿勢は理解できます。
ただ、最近のソシャゲは「期間限定・コラボ」を多用しすぎです。

人間は「限定品」と名が付いていると、なぜか手を出したくなる性分があるため、それにつられて課金をしてしまうという人が多くいると思います。

まあ、期間限定とかフェス的なものはあっても良いと思うんです。
毎日同じ内容だとマンネリしますし。

ただ、頻度が多すぎるのは如何なものかと。

イベント終わったら数日後にまた違うイベントとか完全にユーザー殺しにかかってますよ。
お金を取れるときに吸い取っておこうという運営の心がダダ漏れです。

「じゃあユーザー側も辞めれば良いじゃん」って思う方はいるでしょうが、最近のソシャゲってある種のギャンブル依存症と同じようなユーザーを生み出していると思うので、そう簡単にやめられないという現実がありそうな気がします。

ギャンブルは基本的に負けます。

ただ、たまに大勝ちをします。

この時の高揚感が癖になりどうしてもやめられない。気がついたらお金を使ってるというのがギャンブル依存症です。

ソシャゲもレアキャラを当てた時の高揚感はあります。
それが期間限定であればなおさらでしょう。
おまけにソシャゲはSNSと結びついて「レアキャラを手に入れた」ということをネット上に発信できることで、高揚感+自己顕示(あるいは承認欲求)を満たすため、依存症を作り出す要素役満です。

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キャラ・アイテムではなく時間に対しての課金

私は課金をするという行為自体は批判しません。
ただ、上記のように現状のガチャシステムの課金では、あまりにもユーザーが一方的に搾取されすぎるという問題点があります。

おそらくユーザーは基本的にキャラやアイテムを引き当てるために課金をすると思いますが、時間に対する課金というものもあります
実際にスタミナ回復や待ち時間をなくす課金というのは多くのゲームに実装されてますね。
この「時間に対する課金」は課金をすれば間違いなくユーザーの手に目的物(時間短縮)が手に入るので、課金をするデメリットというものがありません。
海外のソーシャルゲームは割とこの形態を取っているところが多く、特別なキャラやアイテムも課金によるロック解除が多いので課金をしても手に入らないという状況は生まれにくいです。

艦これの例

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艦これという有名なブラウザゲームがあります。
このゲームが大成功を収めた理由の一つに「好きな艦娘が手に入るかという要素に課金が絡んでいないから」があると思います。
課金が全く絡んでいないのかと言われたら、正直微妙なところですが、艦これは艦娘を手に入れるためには幾たびも出撃を繰り返し、運で引き当てるという手段しかありません。

よって、課金を殆ど行わずに根気よくプレイをしていれば、自然と艦娘が集まってきます。
艦これは課金対象がドッグの拡張や時間短縮系アイテム(出撃燃料なども含む)が中心のため、廃課金者と無課金者の違いが単純に同じレベルに到達するまでの時間が違うだけなのです。

当然、課金をして資材を蓄えまくったら、目当ての艦娘は手に入りやすくなるかもしれませんが、無課金の人が1回目の出撃で手に入れることもありますし、艦娘入手自体に課金が直接絡んでいないことは明確なため、ソシャゲの様な中毒性を引き起こす可能性はかなり低いと思います。
イベントも年に数回程度なので、丁度いいと言えます。(内容は地獄の様なものが多いですが…)

課金という行為そのものを悪と捉えてはいけない

ここまで散々ソシャゲの課金システムについて言及してきましたが、課金行為そのものは決して悪ではないという事を今一度言いたいです。

海外のユーザー事情はわかりませんが、日本のApp StoreやPlay Storeを見る限り「アプリを無料で使えて当たり前」というユーザーが結構いるような気がします。
同じ機能で有料と無料があれば、当然無料を選択する人が大多数だと思いますが、その無料アプリがリリースされるまでに要した工数は決して0ではないという事を忘れている気がします。
私は今まで結構課金をしてます。
ゲームにしろ他のアプリにしろ、無料版が使いやすかったら有料版を買いますし、無料版が無くても、自分のやりたい事ができるのであれば有料でも買います。

別にお金を払っているから偉いとかそういうことではないのですが「アプリの製作者に対して少しでも還元できたら」と考えているからです。

私がAndroidiPadが快適に使えるのも、ひとえに世界中のアプリ開発者のおかげでありますので、感謝を込めてというか「優良なサービスを受けたので報酬払います」って感じで課金してます。

特にIT系って他の業界に比べて対価を軽んじられてる気がしてならないです。
「この部分ちょちょっと直してよ。」って言ってきて「じゃあ今回の修正費用は…」って切り出すと「え?金かかんの?」って顔する人いますから。
「そりゃ人が動いてんだから人件費かかるだろうが!」とか「金かけたくないならお前が自分でやれよ」って吐き棄てたいSEの人は多分星の数ほどいるのでは。

アプリ開発者だって慈善事業でやってるわけじゃないですからね。
ユーザーがあまりにひどい対応だと開発者離れが起きて、結局ユーザーにしっぺ返しがくると思うんです。
開発者はユーザーがいないと成り立たないですし、もちろんその逆も然りという感じなので、持ちつ持たれつの上手い関係性をそれぞれが保てればみんな幸せかなとか最近よく思います。

なんか話が脱線しまくってしまいましたが、結局のところ私が言いたい事をまとめるとこんな感じです。

①課金自体は悪ではなく、自分の生活が破綻しない範囲であれば誰からも責められることではない。
②ソシャゲのガチャシステムは運営の搾取が酷いため、課金システムの見直しが必要かも
③あまりにも課金をしなさすぎると、サービスやアプリ開発者が消える

まあ「アプリに対して絶対課金しろよ。ザッケンナコラー!」的な感じではなく、サービスやアプリにはそれを生み出した開発者も時間や人件費のコストを要して提供してるんだよってことをなんとなく頭の片隅に入れてもらえればいいかなって程度です。

最後に

最近の日本のゲーム業界はあまり元気の出る話を聞きません。

洋ゲーに押されっぱなしです。

スマホゲームは儲かりますので、どのメーカーも開発したいと思う気持ちは理解できますが、一番の花形である据え置き機の開発が疎かになるのは、ゲーム好きの1人として非常に寂しいです。

海外のゲームも日本のゲームも好きですが、やはり日本のメーカーに頑張ってほしいという気持ちがあるので、搾取したお金を据え置き機のビッグタイトルの開発費などに回していただければ嬉しいなあと思います。

プロフィール

Webマーケティング・ライター・カメラマンと幅広くお仕事させていただいております。
ガジェットやカメラ系の話題が多いです。

カメラは複数のマウントで運用中。
SIGMA・SONY・FUJIFILM・RICOH

お問い合わせは下記のメールまで
syabelog@gmail.com

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コメント

  1. 匿名 より:

    最近発売されたFF15を見ればお分かりになると思いますが、ソシャゲで稼いだ金で据置ゲーム作ったって良い結果になりませんよ。そもそも緊張感も目的もないんですから。
    「このゲームに社運が掛かっている」「他社より絶対に良いゲームを作ってやる」そんな意識が全くない。
    取り敢えずガチャで稼いだ金が山のようにあるから、何でも出来るし幾らでも時間があるよ と言う所からスタートしている。
    だから「おにぎりのグラフィックを作るのに相当時間を掛けました」だの「リアルなCGを作るためにスタッフ総出で旅行に行きまくりました」だのと恥ずかしげもなく言えてしまう。
    その結果出来たのは、制作に10年掛けたのにバグ満載でストーリーが完結していないFF15と言う名前のポンコツです。
    極めつけに発売直後にプロデューサー自ら「正直未完成、何時まで掛かるか分からないがこれから作り込む」と言ってしまう始末、これがユーザーに誠実に向き合った結果と言えるでしょうか。
    賭博によって勤労の美風が破壊されるのは何も消費者だけではない、メーカーも賭博の胴元として儲ける事が出来てしまうと
    苦労してまで困難な課題に取り組もうと言う気概はなくなってしまうんです。
    「儲けた金が据置ゲームの開発費になれば」と言う考え方が間違いである事を、スクウェア・エニックスは身を持って証明してくれた訳です。

  2. 匿名 より:

    私も上記の人の意見に賛成です。
    そもそも今のゲーム業界のクリエイターたちの施行は社会人のそれではなく、はっきり言えば子供の「自分のやりたいことしかやらない、やりたくない」といった我儘極まりないもののように感じます。
    IT関係の対価が軽んじられる原因も結局はそういった開発側の態度や考え方が消費者に筒抜けしてしまっているからじゃないのでしょうか。
    彼らだって頑張ってるのだからそれに見合う対価をというのは理解できるのですが、ITというもの自体が新しい業界であることに加えて、当初出てきた人たちというのが一般的に言われている「社会人」らしさのない人たちばかりだったことが課金などへの心理的障壁を高めてしまったように思います。
    一番の方法はゲーム会社はゲームができるまでの工程はこうなのだと、業務内容を一般の人たちにしっかりと伝え、自然とお金を払ってもらえる環境づくりを業界側が積極的に行い。行政側は業界を締め上げるのではなく、育てられるルール作りを行い。我々消費者はゲームも産業なのだという理解を深め旧態依然の「子供のおもちゃ的」論理を捨てきっちり産業として認める。
    そしてそれらに参加するクリエイターは自分たちは社会人であり子供ではないのだという自覚を持つ。
    これしかないでしょう。
    これをできなければやがて行政や社会はこういった業界は自浄能力を持たない「社会悪」として排除に動くでしょう。
    そうなれば多くの人に不幸な結果を招く結果となるのは明らかなことです。

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