タイトルは某哲学書から拝借しておりますが、別に私はdp3 Quattroも持って山にこもった後に下山して「ベイヤーは死んだ!」とか言い放つわけではありません。
dp3 Quattroを使っているとカメラの方から何かを問われている気分になり、やや哲学的なカメラかなと思ったのでもじってみました。
SIGMAのdp Quattroシリーズの中でもピーキーな存在
そもそもSIGMAのカメラという物が尖っているのですが、dpシリーズは特に面白い存在です。
「レンズ一体型のコンデジ」というカテゴリに属するのですが、どう見てもコンパクトではない。
一般的な人が想像するようなコンデジはGRシリーズのようなサイズ感であって「いや、これコンパクトじゃないよね」という感想が出てくるのは当然です。
しかも、センサーはFoveonを採用しているためISOは上げられない、手ブレ補正はついていない、など使い手の度量を試してくるようなカメラです。
さらにさらに、dp3 Quattroは35mm換算75mmの中望遠域。
広角や標準のように漫然とした構図でもなんとなく良い感じにすることはできず、見せたいものをズバッと切り抜かなければいけません。
dp3 Quattro買った直後は金田の名セリフである「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」というのが頭の中でリフレインしました。
結果的に大丈夫だったのですが、私はdp3 Quattroを買う前に1年ほどdp2 quattroを使っていましたし、さらにその前からsd Quattro Hを使っていたのでそれが大きかったと思います。
はじめてFoveonセンサーのカメラを使うという人はdp3 Quattroよりもとっつきやすいdp2 Quattroが良いかもしれません。
そもそもFoveonという要素を抜いたとしても、中望遠の単焦点コンデジという存在だけでもピーキーですよね。
dp Quattroの外観と使い心地について
まず外観ですが、これはdp Quattroシリーズに共通するデジカメ史上でこの形はdp Quattroしか無いでしょというデザイン。
賛否あると思いますが、私はこのデザインは好きです。
ちなみにQuattroシリーズの持ち心地については過去のCP+で山木社長も「段々と手に馴染んてくる」と言っています。(動画の40分~からです。)
私もそう感じています。
意外と手に馴染んでくるんですよね。不思議。
一般的なコンデジサイズと比べてもサイズの違いは一目瞭然となるので、「コンデジならできるだけコンパクとな方が良い」という層には理解し難いものかもしれません。
GRIIIと比較するとここまでサイズが違います。
撮影体験は他のFoveon機と同様のまったり感
カメラのAFやUIなどは他のFoveon機と同様にまったりした動きです。(オブラートに包んだ表現ですが)
そもそもFoveonのカメラを使おうと思っている方は基本的に静物を撮る目的で買うでしょうし、レスポンス良く撮りたい方やどこでも合格ラインの写真を撮りたい方は他社のカメラを素直に使うのが良いでしょう。
ポートレートなどもdp3 Quattroは良い感じで写してくれるのですが、動き回る子供などは結構厳しいです。AF-Cはありますけどほぼ使えないので…
dp3 Quattroを買うならテレコンバーターも一緒にどうぞ
dp3 QuattroにはFT-1201という純正のテレコンバーターが存在します。
1.2倍となるので75×1.2で90mm相当となります。(フルサイズ換算)
これをつけることで最短撮影距離と最大撮影倍率も変化します。
最短撮影距離 | 最大撮影倍率 | |
テレコンなし | 22.6cm | 1:3 |
テレコンあり | 29.4cm | 1:3.6 |
テレコンをつけると最大撮影倍率もやや下がるので、寄って撮りたいと考えている方からすると悩ましいところはあるかもしれませんが、通常使用で使う分にはさほどテレコンを装着したからといって不便さを感じることはありません。
むしろ、90mmになることで距離感が変わり、dp3 Quattroの表現を更に引き出すことができると思います。
余談:テレコンとビューファインダーを装着するととんでもないことになる
dp3 Quattroはテレコンを装着するとややサイズが大きくなりますが、ここに更にビューファインダーを着けると見た目がカオスになります。
もうわけわかんないですね。この状態だと自分でもカメラを使っているのか別の何かを使っているのかわからなくなる時があります。
ただ、dp Quattroシリーズは天気の良い日に使うとかなり液晶が見えにくくなることがありますので、やっぱりビューファインダーを使い時はある。
毎回は使わないけどね。
あと、「今日はいかつい装備にするぞ!」みたいな気分の時はビューファインダーを装着することが多いですね。
マクロ撮影・物撮りの適正について
焦点距離が70mm、テレコンを使うことで90mmとなるので、歪みが少なく物撮りなどにも使いやすい焦点距離です。
ただ、マクロ撮影についてはハーフマクロにちょっと足りないくらいの最短焦点距離となるので、本格的なマクロ撮影には物足りなさを感じます。
スナップをしていると「結構寄れるな」と思う反面、ガチガチにマクロ撮影にはやや不向き。
dp3 Quattroでマクロ撮影する時の対応策としてはSPPの解像度2倍モードで出力をすることで大きく出力をして、あとからガッとトリミングをするのも一つの方法でしょう。
dp3 Quattroの作例
これまでdp3 Quattroで撮影をした写真を数枚載せさせていただきます。
Foveonということもあり、カリッとした被写体はもちろん水や花なども相性が非常に良いです。
また、中望遠ということもありdp3 Quattroで写真を撮る時はスナイパーになった気分になります。
余談:ポートレートでも結構いけると思う
dp3 Quattroで家族の写真を何回か撮影をしたことがあるのですが、これがまたかなり良い感じに写ります。
ここにその写真を載せることはできないのですが、SPPのスムーズ・クリスピーの設定を少しスムーズ寄りにして、色味を調整することで肌の質感は残しつつ、程よく写りすぎないようにすることが可能です。
AFにはやや難はあるので、動き回る子供を撮るのは至難の技となりますが、ポーズをしてもらって普通に撮る分には問題ありません。
ただ、1点注意点として開放で撮りたい場合はNDフィルターを用意してください。
dp Quattroシリーズはシャッタースピードが最大1/2000秒と低めなのですが、これが開放になると最大で1/1250秒となります。
ちょっと良い天気で使おうものなら、あっという間に露出オーバーになってしまうのです。
スナップ用途でも露出オーバーはよく起こるため、NDフィルターは必須で買っても良いかもしれません。
dp3 Quattroは発売から数年後の今でも光る存在
「dp3 Quattroとはなんなのか?」と言われると私は日本刀のようなカメラという印象を受けてています。
最近のミラーレスは全自動のマシンガンだとしたら、dp3 Quattroは日本刀。
使い勝手や取り回しが悪く、攻撃範囲は狭いですが効果的に使えれば絶大なダメージを与えられる武器のような感じです。
単焦点1本でのスナップはよくしますが、dp3 Quattroでスナップする時は気合が自然と入ります。
身が引き締まる。
発売からかなり経過していますが、まだまだ写りについては現役というか下手したら最新機種とバチバチに戦えるレベルなので、最近の「いつでも良く撮れすぎるカメラ」に飽きを覚えた方は何も考えずにカートに投げ込んで決済まで進んでみてください。