カメラをちょっと触った人が「フルサイズでかい…ミラーレスにしたい」と考えた時に直面する
「マイクロフォーサーズってどうなの?」という疑問
以前も似たような記事書きましたけど、カメラグランプリの内容とかも踏まえて、改めてマイクロフォーサーズを考える記事を書きたいと思います。
2017年はOLYMPUSの年
毎年カメラグランプリというカメラ記者クラブが主催する祭典(?)があります。
項目は「大賞」「あなたが選ぶベストカメラ」「レンズ賞」の3つがあり、今年はなんと全てOLYMPUS製品が受賞するという形になりました。
このカメラグランプは基本的なカメラ性能を評価されることはもちろん、今までになかったエポックメイキングな製品が選ばれる傾向があるので、歴代のカメラグランプリを眺めていると非常に興味深いです。*1
今回受賞をしたOLYMPUS OM-D E-M1 MarkⅡは確かにものすごいカメラです。
マイクロフォーサーズの強みを活かしつつ、ミラーレスの弱点を削ぎ落として来ました。
私も過去に興奮したあまり記事にしてます。
実際触ってみるとたしかに、その完成度の高さは実感できます。
操作性は快適で、ファインダーも見やすい。
話題の高速連写中のブラックアウトも今までのミラーレスカメラと比べるとかなり短い印象を受けました。*2
そしてレンズ。
OLYMPUSが発表してた12-100mm F4のレンズは本当に魅力的。
35mm換算で24-200mm相当となるこのレンズはスナップ・旅行写真を撮影する人にとっては生唾が出るレンズなのではないでしょうか。
例えばNikonで同じようなレンズを探すと24-120mm F4というレンズがあります。
他のメーカーだと24-105mm F4というのが多いですね。
もっと焦点距離を伸ばそうと思うとF値が変動してもっと暗いレンズになります。
ああ、12-100mm使ってみたい。
これを使いたいがゆえにOM-Dシリーズのやつ1台欲しい。
それくらい魅力的。
センサーサイズの呪縛から逃れられたのか
フルサイズ?マイクロフォーサーズ?
前置きが長くなりましたが、ここから本題。
私はマイクロフォーサーズ機を愛用していて*3過去にこんな記事を書きました。
この記事は私のブログの中でも結構読まれている記事の一つで、それだけマイクロフォーサーズを買う際に「本当にマイクロフォーサーズ選んで大丈夫なの?」と思っている人が多いことがわかります。
確かにセンサーサイズはフルサイズの半分となり、高感度耐性・ダイナミックレンジなどは非常に不利なシステム。
大は小を兼ねますが、その逆はありえません。
「じゃあ、とりあえずフルサイズ選べばいいじゃん」という結論はあながち間違いではありません。
間違いではないのですが、正解とも断言できないのが微妙な所。
カメラに長いこと触れている人ほど「各シーンに最適なカメラはそれぞれ違うので、1台で完結させることは難しい」と感じる部分は多いと思います。
要するにフルサイズが最適なシーンもあれば、マイクロフォーサーズが最適な場面もあるということです。
一概にセンサーサイズが大きいからベストチョイス!とはならないのが難しい。
でもフルサイズであればベストではなくともベターな選択になることはほとんどです。
それは事実。
マイクロフォーサーズはフルサイズに近づいているのか
そして最近はマイクロフォーサーズが賑わっていることもあり、システムをマイクロフォーサーズに入れ替える人も増えています。
フルサイズ機からマイクロフォーサーズ機OM-D E-M1mark2に乗り換えた10の理由|toshiboo’s blog
こちらの方はCanonのフルサイズからマイクロフォーサーズへ完全に乗り換えた方です。
OM-D E-M1 MarkⅡのレビューを細かくしているので、私も非常に参考にさせていただいております。
そして、先日こんな記事も見つけました。
この記事はDxOのセンサースコアを元に比較をしています。
マイクロフォーサーズといえば高感度耐性がフルサイズと比べて低いことが特徴の一つ。
でもそれを補う強力な手ブレ補正機構が各社あります。*4
この記事の言いたいことは、フルサイズでガンガンISOを上げるのと、マイクロフォーサーズでISOを抑えて撮影した場合だと画質が同程度になるんじゃないの?ということに尽きると思います。
確かにフルサイズといえども高ISOになるとノイズも増え、画質が落ちていきます。
しかし、手ブレ補正を駆使して低ISOで撮影したらマイクロフォーサーズも負けることはありません。
上の画像はPanasonicのGX8とNikonのD800で撮影したデータをランダムに並べたものです。*5
画素数がかなり違うので、同じ土台で比較するのはちょっと違うと思いますが、ぱっと見た時にどっちの画像が劣っているという評価はすぐに下せないと思います。
こういうことしちゃうと「なにもフルサイズにこだわらなくてもいいのでは…」と思っちゃいますよね。
センサーサイズはAPS-Cやフルサイズと比べると小さいですが、Web用途や大規模な印刷でもないかぎり画質に関しては問題ないと思います。
画質や高感度という面で避けられることがあるマイクロフォーサーズですが、確実にフルサイズとの差は埋まってきていると感じています。
あらためてマイクロフォーサーズを考える
得意分野とか
「とにかくシステムを軽量化したい」と考えている人にとってマイクロフォーサーズはいい選択肢となるでしょう。
センサーサイズが小さいこともあり、レンズ設計が小さくできるので、SONYのEマウントのように、ボディは小さいけどレンズが馬鹿でかいという構成にはなりにくいです。*6
手ブレ補正が強力なので手軽に撮影することができますし、低シャッタースピードになりがちな暗所撮影でも手持ちで撮れてしまうという素晴らしさ。
この手ぶれ補正のおかげで、マイクロフォーサーズが苦手な高ISO撮影にならずに済むというメリットもあります。
また、ここ最近のマイクロフォーサーズ機はGH4・GH5をはじめ、OLYMPUS勢も動画撮影に力を入れています。
写真だけではなく、動画も頻繁に撮りたいという方にはマイクロフォーサーズ(特にPanasonic)を選択肢に入れるのはアリでしょう。
不得意分野とか
動体ブレを防ぐために、暗所でもある程度のシャッタースピード確保したいという方には向かないでしょう。
確かに手ぶれ補正はかなり効きますが、フルサイズほど高感度耐性が強くないので、その分シャッタースピードは遅くする必要が出てきます。
あとはボケ感ですね。
コレばかりはいくらマイクロフォーサーズの機能が上がったとしても覆りません。
マイクロフォーサーズでも被写体に近づいたり、焦点距離を伸ばしたらフルサイズのようなボケを得ることができますが、同じ焦点距離でボケ味を出したいならセンサーサイズが大きいカメラを選ばなければなりません。
ポートレートとかで「とにかく開放F値でボケ写真を撮りたいんだ!」という方はちょっと作例を確認してから購入に踏み切った方がいいでしょう。
ただ、色々作例とか見てる感じだとF1.2~F1.4あたりのレンズを使うと、良い感じのボケ具合も出してくれますし、正直私個人としてはマイクロフォーサーズのボケ感で十分な気もしてます。
※追記
コシナからF0.95という化物みたいな明るさをもつレンズが出てましたね。
単純にフルサイズのF1.8のボケ感と同等と思われるのですが、F0.95って明るすぎてシャッタースピードかなり上げないと厳しそう。
実際に使ってる人の話を聞きたいです。
来年のカメラグランプリを予想
もう来年の話かよって思うかもしれませんが、一年は早いです。
年を取ったせいなのか、以上に一年が早く感じます。
今年だってもう半分終わってますし…
カメラグランプリは4月1日〜次の年の3月末までに販売された製品の中から選ばれますので、私の予想もその範囲で選びます。
「大賞」
今回受賞したのはOM-D E-M1 MarkⅡでしたが、来年のカメラグランプリ大賞はほぼ間違いなくSONYのα9かなと。
正直α9の衝撃を覆すカメラを出すのって、他のメーカーからしたら結構プレッシャーあると思います。
「一眼レフを選ぶメリット」として筆頭に挙げられる動体撮影時の快適さですが、このα9はそのアドバンテージを無くすほどの設計。
ブラックアウト完全に消してます。
初めて触った時はあまりにもブラックアウトが無くて、逆に違和感を感じました。
電子シャッターだし「え?今ちゃんと撮れてるの?」と思っていますくらい。
電子シャッター嫌う人もいますけど、音を出せない場所(ゴルフ・テニス・舞台など)でも気兼ねなく撮影できると考えるとα9は本当に魅力的だなと思います。
しかし、そこはNikonあたりが突然フルサイズミラーレスとか出してくれたら番狂わせが起こるかも…
というか、Nikonには頑張っていただきたいので番狂わせしてほしいという心情です。
「レンズ」
レンズは現時点でSIGMAの135mm F1.8
Nikonの8-15mm F3.5-4.5
TAMRONの18-400mm F3.5-6.3
このあたりですかね。
特にNikonの魚眼レンズは面白いですよね。
遊びレンズとして1本持っておきたいかも。
最後に
結局マイクロフォーサーズってどうなの?って質問に対しては「めっちゃ良いよ!」という回答になります。
マイクロフォーサーズで撮れない写真がどんどん減ってきていることや、上記のように画質が向上したこともあり、無理してフルサイズを選ぶ理由は少なくなりましたし、ましてやAPS-Cを選ぶならマイクロフォーサーズの方が良いかも…って感じるかしれません。*7
完全にブラックアウトを消しているのはα9しかありませんが、OM-D E-M1 MarkⅡも相当なものだし、今後も「動体撮影向けミラーレス」は増えていくでしょう。
最近OM-D E-M10 MarkⅢが出るとか出ないとか噂がありますが、そしたら型落ちOM-D E-M10 MarkⅡが激安になって即売案件になるかも…
という妄想をしつつ、早くNikonにはD810の後継機を発表してほしいと切に願っています。