今季最高のクソアニメ
今季最高のクソアニメとして覇権が確実視されているポプテピピック
同じ枠で同じ話を2回繰り返すというとんでもない構成や無駄に声優が豪華だったりなど、今までのアニメの楽しみ方とはまた違う角度で話題となっているわけですが、間違いなく今季の覇権アニメ*1でしょう。
放送前から完全にネタ要員だったわけですが、今の熱狂ぶりはネタ要員を明らかに超えて影響力のあるコンテンツとなっています。
中身はネタの宝庫である
このアニメはネタの塊で構成されています。
古今東西のネタが詰め込まれすぎてツッコミが追いつかない。
勢いのすごい銀魂のギャグ回みたいな感じのテンションがずっと続きます。
ちなみに私は見た後にこのような感想を抱きました。
ポプテピピックを観てたら難解な現代アートを観ているような気分になった。表現の自由を感じる
— わっち (@lojec) 2018年1月8日
色々と規制が昔よりも厳しくなっているのでやりたい放題するにはそれなりの覚悟がいるんでしょうが、ポプテピピックに関しては原作以上にやりたい放題しています。
ストーリー(といってもストーリー性皆無)・声優の起用など余すことなくネタにすることができるポプテピピックは、パロデイを愛するひとにとってはたまらないでしょう。
ユーザーが広告塔となってくれる一番理想のマーケティング
最近は円盤が売れないとか色々世知辛い話が多いアニメ界隈ですが、今回のポプテピピックのような例は最近もよく起きていた現象であり、今後いわゆる「成功アニメ」として名を残すためにユーザーを上手く利用するという広告方法は必要な要素となります。
アニメ公開前から勝利は確実だった
そもそも原作が出版社を指定暴力団と言ったり、時事ネタとか煽りまくってで全方向に喧嘩を売るスタイルだったため、一部の層から熱狂的な支持を受けていたポプテピピックですが、今回映像化という話が出た時にまず頭に思い浮かんだのが「アニメ化ってどうすんだこれ…」という印象でしょう。
最初から期待をしていないとかそういうレベルの話ではなく、放送事故をあえて流すのかどうかという次元なわけで、あるベクトルでの期待値としてはかなり大きいアニメの部類に入ったと思いますし、放送前から話題をかっさらっていくという流れはもはや第一話で滑らなければほぼ勝利確実でした。
そして結果はそのぶっ飛び具合で滑り出し好調となったわけです。
久々にここまでカオスなアニメは見た。
パロディのしやすさとネタがネタを生むシステムは理想のマーケティング
原作も大概ですがアニメもネタをふんだんにぶち込んでいるため、オタクにとってはその元ネタを拾うのが楽しくて楽しくて仕方ありません。
結果としてネット上にはアニメでポプテピピックをネタにしたイラストやアニメで取り上げられていたネタの元ネタを題材にした作品など、ネタがネタを呼ぶ連鎖がすでに始まっています。
TwitterであればRTでポプテピピックがTL上駆け巡るわけであって、もはや楽しいから見ているというよりは「このポプテピピックをみんなで共有する」というレベルにまで発展しています。
秋葉原での騒動
先日秋葉原でポプ子のお面を配布するというイベントがありました。
【※緊急決定※】
本日15時と16時!ピピPによって大量生産された『クローンポプちん』(お面)をアニメイト秋葉原店頭にて大量配布決定!秋葉原の街をクローンポプちんで埋め尽くせ!https://t.co/T6BnfZtPQU#ポプテピピック #クローンポプちん量産計画 pic.twitter.com/oxBg9HInvu— アニメ「ポプテピピック」公式 (@hoshiiro_anime) 2018年1月20日
結果としてどうなったのかというと、秋葉原を人が埋め尽くし、埋め尽くし過ぎてイベントが中止になる事態になりました。
【速報】アニメ「ポプテピピック」のお面配布 人が集まりすぎて中止に | ニコニコニュース
はたして他のアニメでもここまでの混乱を起こすことができたのかと考えるとなかなか難しいと思います。
人気声優を突然召喚するとかだったら可能かもしれませんが、ただのお面配布イベントでこんな事態になるなんて正直異常な熱です。
このイベントに参加した方の多くはおそらく「お面が欲しい」ではなく「クソアニメのイベントに参加したw」というニーズの方がきっと多いですし、後者の場合はコンテンツそのものを楽しむというよりも、コンテンツを共有する楽しみに重きが置かれていると考えるべきでしょう。
コンテンツを共有するさせることによるマーケティング
どの業界でも共通することですが、SNSが普及した現代では「コンテンツを共有させる」事が成功の鍵とも言えます。
コンテンツの共有とは単純に「そのコンテンツについての知識・話題を共有する」ということだけではなく「そのコンテンツを見ているリアルタイム感」も含むわけで、特に後者のリアルタイムを共有している感覚こそがバズるきっかけとなります。
最近のアニメでは下記の2つが代表的。
過去の例1:魔法少女まどか☆マギカ
魔法少女まどか☆マギカ(以下 まどマギ)はその名の通り魔法少女を題材としており、蒼樹うめ先生デザインのポップさに騙された人も多いアニメでしょう。
しかし、よくよく見たら虚淵 玄×シャフトという組み合わせなのでかなり危ない雰囲気がしていたわけですが、案の定視聴者の予想を裏切る*2ダークな展開により生じたギャップにより「まどマギやべぇ(色々な意味で)」という感想が飛び交う事となりました。
外的な要因も重なった
放送期間中に東日本大震災が起きたこともあり最終的話が1ヶ月延期したということも爆発的に人気が出た一つの要因ともいえます。
最終話で引き延ばしを食らった視聴者としては期待がMAXまで高まりますし、新聞広告にでかでかと出すなど話題性はかなりあました。
普通はそんなことしませんし、新聞広告によって「まどマギは特別なアニメ」という印象を与えることとなりました。
まどマギに関してはストーリーも面白いアニメであったため、純粋にポプテピピックの類似例というわけではないですが、あの当時の勢いなどは今のポプテピピックと似ている点は多いです。
「まどマギ観てないの?」と感じるくらいの空気感はありましたし、最初はあまり興味なかった人でも「そんなに話題ならちょっと観てみるか」となった人も少なくなく、結果的に作品内のネタが共通言語化するほどまでに発展しました。
過去の例2:けものフレンズ
最近一番新しい例だとけものフレンズが想像しやすいかと。
けものフレンズはストーリーがあるかないかと言われれれば「あるようでない」というポジションで、正直なところストーリーよりもキャラクターたちそのものや雰囲気に惹かれて視聴をしていたという方も多いのでは。
一言で言うなら「癒やしアニメ」
仕事の疲れで気分が落ちている時に見るとほんわかしますし、まるでお風呂に使っているかのような心地良さは世のサラリーマンを虜にしました。
大人になると褒められるって少なくなりますからね。
謝罪は上手くなるんですけど。
リアル(現実)との関わり
けものフレンズによって大きく影響を受けたのがリアルな動物園です。
キャラクターにはそれぞれモデルとなった動物がいるため、その「元ネタ」を見たいと今まで動物園に行かなかった人たちが多く動物園を訪れました。
アニメの放送は2017年1月11日〜3月29日なのですが、その放送が終わってから「動物園」のキーワードで検索件数が一気に増えています。
※青:けものフレンズ 赤:動物園
実際にけものフレンズは放送中よりも放送後の影響の方が大きかったし、ニコニコ動画で一挙放送をした時には史上最多コメントを記録したり、色々なコラボがされたりなど非常に息の長いアニメとして確立しました。
当時の雰囲気を思い出すとTwitterではけものフレンズの用語が飛び交い、IQが軒並み30位落ちているのではないかという感じなってましたが、その空気感はまさに「けものフレンズをみんなで楽しむ」というものだったし、居心地は良かったです。
けものフレンズは先に述べたようにキャラクター自体が本当に存在する動物であったり、アニメの中のセリフやキャラの動きなどが二次創作するにはもってこいという感じのネタの豊富さだったことがファンの多さにも繋がっているのでしょう。
また、けものフレンズに関してはたつき監督や元々のけものフレンズアプリという存在も非常に大きかったです。
けものフレンズはたつき監督の苦労エピソードや元々のけものフレンズアプリの不遇さとかも相まって「応援したい」という気持ちを沸き立たせるなど、視聴者を感情移入させる要素は多く含まれていたように感じます。
このようにけものフレンズはコンテンツそのものだけではなく、雰囲気や感情を共有させたアニメになったこともあり爆発的な人気に繋がっていったのだと思います。*3
ポプテピピックは円盤が売れなくても成功アニメとなる
ポプテピピックも一応円盤は出しますが、これは売れなくても多分影響はないと思います。
というのも、ポプテピピックは地上波での放送がメインではなく映像配信サイトが中心となっているからです。
テレビでは5媒体なのに対して映像配信サイトは18媒体です。
映像配信サイトでの収益システムは再生回数や再生時間に比例して収益が発生すると一般的には言われているので、話題になってみんなが再生ボタンを押せば押すほどポプテピピックにはお金がチャリンチャリン発生している事となります。*4
この時のネットの強さとしては「いつでも見れる」「何度も見れる」というものなので、第一話目でバズった時点でほぼ勝ちが決定していたとも言えます。
多分人によっては好きな話を何回も視聴するでしょうし、リアルタイムで見逃した人でも配信期間中であれば好きなタイミングで観ることができるため、観たかったけどリアルタイムで観れなかったという潜在的なユーザーに対してちゃんとアクションに起こさせるような用意がされていることとなります。
そしてコラボカフェとかグッズも並行して販売することによって更に収益を増やすことができるため、勝ちが勝ちを呼ぶ連鎖がポプテピピックには発生しているのです。
成功アニメを作るにはどれだけネタを提供できるかが鍵
話題を起こすための要素としてはコンテンツそのものの濃さであったり、その作品の背景なども大きく要素として含まれてきます。
そして、ユーザーを上手く利用することが如何に大きいコンテンツにするのかという部分において重要になっているとひしひし感じています。
この時の利用っていうのは、ユーザー自身の手でコンテンツを共有させるという利用方法です。
とはいえ、今回のポプテピピックの成功の後追いで同じような作品を作ったところで、ポプテピピックという前例と比較されてしまうので、今後同じような作品を作ろとしてもなかなか同じようにはいかないでしょう。
「真面目にふざける」を体現したポプテピピックはすごいと思います。
でもこの勢いが1クール持つのかどうかあやしい気もしますが…