マイクロフォーサーズは動体撮影も強くなった
マイクロフォーサーズはここ2年ほどでかなり動体撮影に強くなりました。
元々ミラーレスは動体撮影に向かないなど言われ続けていた訳ですが、それを払拭するようなボディをOLYMPUS・Panasonic共にリリースしています。
他にはFUJIFILMのX-T2やSONYのα9などミラーレスだけど動体撮影も対応出来るカメラがいくつかありますが、中でもマイクロフォーサーズの動体撮影は気になる。
常に気になる。
なんでマイクロフォーサーズで動体撮影が気になるのか
動体撮影でマイクロフォーサーズを使いたい、気になるというのは軽い機材で焦点距離が稼げるからということに尽きるでしょう。
例えばCanonやNikonなどで35mm換算800mm以上の超望遠域を使うにはSIGMAやTAMRONの150-600を使う人が多いと思いますが、如何せんデカい&重い。
いや、私は大きい機材が使いたいんだ!という方は全く問題ないですが、ネイチャーメインで山岳地帯とかよく行く方はあの重さ辛いと思います。
マイクロフォーサーズなら70-200よりちょっと軽いくらいのレンズで800mm相当まで画角を伸ばすことが出来るわけで、フットワークを考えると普通に魅力的な存在となります。
おそらく元々レフ機を使っていてマイクロフォーサーズに手を出した人の殆どが「機材を軽くしたい」というのに当てはまるでしょうし、よく頻繁に撮影へ出かけるヘビーユーザーほど機材の軽いことは素晴らしいと実感しているのではないでしょうか。
マイクロフォーサーズで動体撮影をするならこれ
OM-D E-M1 Mark II
マイクロフォーサーズの動体撮影で最初に衝撃を与えたのがE-M1 Mark Ⅱでしょう。
AF/AE追従最高18コマ/秒という驚異的な高速連写はCanonやNikonの一桁機を上回るスペックであり、それがコンパクトなボディで実現されたのは本当に驚異的です。
利用している方のレビューなどもいくつか見る限り鳥撮影などの小さく早い被写体にもバシッとピントを持ってきているようで、動体撮影でも実用的であるということがわかります。
OLYMPUSレンズを組み合わせたカリカリ描写も相まって写りも大変良きです。
Lumix G9 Pro
PanasonicからはG9 PROが今一番スチル性能が突出しているカメラでしょう。
GHシリーズはかなり早い段階からブイブイ言っていましたが、それはムービーという分野であって、スチル分野で「コレだ!」というボディがなかったので「Panasonicカメラは好きだけど写真を撮りたいんだ!」という少なからずいた層には響いています。
実際のかなり各所での評判は良く、写真の解像感に関しては同じマイクロフォーサーズカメラであるE-M1 Mark IIよりも良いとか。
高速連写に関しては最高で60コマというアホみたいな連写枚数でもはや撮れないものはないのでは?と思うほどです。
G9 PROは動体撮影には不向きと言われているコントラストAFを採用していますが、とんでも技術力で位相差AF並の食いつきを実現するというまさに技術力が集結したカメラです。
今までは上記のようにPanasonic = ムービー(GHシリーズ)という印象が強かったですが この機種のおかげでスチル中心の利用者も増えている印象です。
OM-D E-M1 Mark IIかG9 Proどっちが動体撮影向き?
個人的な感覚としてはG9 ProよりもOM-D E-M1 Mark IIの方が動体撮影はしやすいと思います。
G9 Pro自体は良いカメラだと思うのですが、動体撮影という土台に立つとOM-D E-M1 Mark IIが有利かと。
ただ、私はPanasonicレンズを中心に集めていますので、手ぶれ補正の効果を最大限に活かすことを考えると自然とG9 PROになります。
しかし、色々と触ってみた中で現在持っているD500から動体撮影用としてG9 PROに乗り換えるにはちょっと…と感じた点がありましたので、そのことについてつらつら語ります。
G9 Proを触ってみて感じたこと
良い所①:サイズ感と重量
マイクロフォーサーズにしては大きめのボディとなりますが、持った感じは「大きさの割に軽い」という印象。
グリップ感も良く長時間握っていても疲れにくい形となっています。
長時間使う時は軽いミラーレスより重い一眼レフの方が楽な時があります。
それはグリップでしっかりと持つことができるかという部分が大きいと思います。
マイクロフォーサーズはボディがコンパクトな反面、グリップ感があまり良くないボディもありますので、そういった意味で「カメラが好きな人に向けたボデイ」ということが伝わる外観となっています。
良い所②:高速連写
G9 ProはOM-D E-M1 Mark IIを上回る高速連写が可能です。
AF追従で20コマ、AF固定なら60コマまで撮影できるので、成功ショットを作り出す確率はかなり上がるでしょう。
この連写枚数は一眼レフでは実現することは難しい領域だと思いますので、この連写枚数を体感したいならミラーレスにするしかありません。
しかし、後々お話しますがこれが逆にイマイチと感じる点 に繋がります。
良い所③:画質
コレに関しては自分自身が試したわけではなく、色々なレビュー記事や作例を見て感じたものとなりますがかなり良さげ。
元々マイクロフォーサーズで画素2,000万というレベルは画素ピッチを考えると結構カリカリ描写になるわけですが、その写りもカリカリ好きとしてはたまらない出来です。
マイクロフォーサーズは欠点の少ないレンズが多い印象もあるので、写りに関してはG9 PROを使うと撮れ高多そうです。
イマイチと感じた所①:EVFの見え方
G9 Proの売りとしてEVFの見やすさをプッシュしています。
しかし実際に覗いた感じではそこまで感動はなかったですし※1確かにファンダーサイズは大きい、むしろ「え?そんなに他のカメラとかわらないのでは」と感じてしまいました。
正直な所、私が持っているGX8のEVFの方が見やすい。
本当にGX8のEVFは強い。
写真を撮る人のためにということで作られたカメラなのにEVFをちょっと手を抜いてしまったのか、糸巻き型の歪曲などもありますからちょっとがっかりした点でもあります。
あと、設定でEVFのフレームレートを上げてもブラックアウトの時間を結構感じたのでコレも残念なポイント。
前に入間航空祭をGX8で挑んだ時と同じような感覚です。
Panasonicとしては電子シャッター使えよ!ってことなんでしょうけど、後にお話しする電子シャッターの色々な制限があってなるべくメカシャッター使いたいですし、ライバルのE-M1 Mark IIの方がはるかにブラックアウトがなかったです。
メカシャッターにこだわるならE-M1 Mark IIに軍配が上がります。
イマイチと感じた所②:連写を活かせないバッファの少なさ
G9 PROは高速連写を謳っていますがバッファに関してはそこまで多くないです。
一応公式では「600枚以上の連続撮影が可能」と記載はありますが、SH連写(20コマ以上の電子シャッター)だと設定に関係なく最大撮影枚数は50枚までとなってしまいます。
じゃあ制限のないメカシャッターの方で撮ろう!と思ってもAF固定で12コマ、追従なら9コマになります。
制限があったとしても最大50コマまで撮れるなら良いじゃん!って感じるかもしれませんが、20コマ・60コマと撮れすぎてしまうがゆえにバッファの埋まり具合もマッハです。
実際に20コマと60コマを体験するとあっという間にバッファが埋まるので実戦向きかどうかと言われると微妙なところ。
では連写枚数が程よいメカシャッターの方を選ぶという選択肢もあるわけですが、動体撮影はAF追従で常に被写体を追っかけて撮影をすることが多いと思いますので、選択肢としてはAF追従ができる方を自然と選ぶこととなります。
そうなると結局秒間9コマとなってしまうので特に一眼レフと変わらない速度感となり非常に残念な結果となってしまいます。
性能を活かしきれない歯がゆさ。
乗り換えるにはD500を超えてくれることが一つのライン
人によって環境が違いますが動体撮影をレフ機からG9 Proに乗り換えるラインは存在していると思います。
基本的には現行機種と比べてどうか、自分が今現在持っている機材と比べてどうかとなるでしょう。
私の場合はNikonのD500が一つの基準となります。
めっちゃハードル高い。
D5から受け継いだ動体撮影の為に作られたと言っても過言ではないレフ機に勝たなくてはいけません。
G9 PROは確かに快適でした。
ちょっと触っただけでも今私が持ってるGX8と比べると動体撮影やりやすいです。※2元々GX8は動体撮影向けに作られたわけではないので当たり前ですが
でもやはり動体撮影ではD500が強いです。
思ったよりもブラックアウトがなかったり、高速連写の制限がなく、もはやレフ機と差はないんじゃないかと感じることができれば乗り換えを結構真面目に検討していたんですが、動体撮影に関しての快適さに関してはD500が良すぎて勝てないです。
しかし、当然G9 PROでも全く撮れないということではありません。
大きめの被写体やそこまで早くない被写体なら大丈夫な気もしますが、鳥や戦闘機などではブラックアウト気になるかなーという感覚。
電子シャッターならブラックアウトはありませんが上記のようにバッファ問題がありますし、6KフォトではRAWで撮れませんし※3私はRAWでしか撮らないので4K・6Kフォトはほぼ使いません。どうしようもないです。
動体撮影におけるバッファの重要性
動体撮影というと高速連写に注目されがちですが、個人的にはバッファの方が重要だと思っています。
連写をして一旦撮影が終了したとしても、場合によっては間髪入れずにまた撮影チャンスが訪れるかもしれないので、バッファに余裕がないカメラは本気で動体撮影しようとすると本気でイライラします。
実際のところ極端にバッファの少ないカメラでもない限りバッファの限界に達することなく撮影が終了することも多々ありますが、撮影チャンスを逃したくない!という強い気持ちがあるとそのバッファの余裕は心の余裕にもなります。
メディアの容量が許す限り連写をすることができることは素晴らしい。
動体撮影にはまだ一眼レフが優勢。しかし今後はわからない
ミラーレスでも動体撮影ができるようにはなってきましたが、まだまだ一眼レフが優勢だと思います。
多分東京オリンピックくらいまでは一眼レフが多いそうですね。
でもその後はわからないです。
ミラーレスの方が最新技術を詰め込みやすいことは間違いないですし、ブラックアウトもバッファも技術革新によって改善されることは期待できるからです。
G9 PROは価格の下落もありかなりお買い得となっているため、かなり買うか揺らぎましたが、私の場合はD500と入れ替えたらきっとストレス溜まること増えるだろうなと感じたわけです。
入れ替えじゃなくて追加購入ならまだ可能性はあるかもしれませんが、どちらかというとGX8の後継機の方が欲しいので結局G9 PROは見送りになることが濃厚です。
先日Panasonicがフルサイズミラーレスを出すのではという噂が出てきてネット上では沸き立っていましたが、そうなるとマイクロフォーサーズ規格はどうなるのか非常に気になるところです。
8K動画という規格に耐えられるようにするためにフルサイズを出すのか、はたまたマイクロフォーサーズは今後シュリンクさせていくのか。
以前マイクロフォーサーズというセンサーサイズには限界があるという話をOLYMPUSかPanasonicの中の人のインタビューで見た記憶がありますが、いよいよその時期が来たってことなんですかね。
フルサイズミラーレス戦争が激化してくる予感が半端ないです。