マイクロフォーサーズには2つのメーカーがある
マイクロフォーサーズマウントはPanasonicとOLYMPUSが採用しています。
一般的には一つのメーカーにつきマウントは一つなので*1マイクロフォーサーズはその中でも珍しい存在と言えるでしょう。
しかし「PanasonicでもOLYMPUSでもマイクロフォーサーズだしどっち選んでも一緒か」と考えてしまってはいけません。
確かにマウントは同じなのでカメラ・レンズは問題なく利用できますが、それぞれが持っている設計思想はあるのでユーザーによって向き不向きは必ず出てきます。
今回はそんなマイクロフォーサーズ2社についての解説とか色々。
それぞれのメーカーの特長
Panasonic
PanasonicのカメラはLUMIXというブランド名で出されています。
しかし、「Panasonicのカメラ」と聞いて大半の人はビデオカメラを想像するでしょう。
例えば昔LUMIXを使ったことがある人とか、CMが印象的でLUMIXの存在を知っていたとかでないと、Panasonicが一眼を作っているということすら知りません。*2
カメラをやってない人からするとカメラメーカーはCanonとNikonしか存在しないケースがほとんどなのでLUMIXは少し知名度が低いとも言えます。*3
動画性能の高さ
動画への強いこだわりは多分一眼カメラを作っているメーカーの中でも随一なのではないでしょうか。
いわゆる業務用のビデオカメラとしては強豪にSONYがいますが、一眼での動画撮影ということに関してはSONYはあまりαシリーズでそこまでプッシュしてないのかなという印象です。*4
対してPanasonicは動画性能をガンガン推しており、GHシリーズは「お前らこれで動画撮れよ!」と言わんばかりの機能を詰め込んでいます。
4K動画が撮れるかカメラはエントリー機でも珍しくはありませんが、一番下位機種であるGFシリーズでもAVCHD形式とMP4形式で保存方法を選べるのは素晴らしいです。
ちなみにEOS Kiss Mは4Kが撮れるけどMP4のみ、NikonのD3400に関しては4Kすら撮れません。ニコンェ…
α6500は4Kで保存形式選べるのですが、そもそもGFシリーズとはカメラのランクが違いますので純粋に下位モデルでの比較となると違うかなと。
こう考えるとエントリー機から最上位機まで満遍なく動画性能が高いPanasonicすごい。
UIの良さ
PanasonicとSONYは昔から「家電メーカーが作るカメラ」と揶揄されていましたが、昨今は逆にそれがプラスに働いている気がします。
特にUIの使いやすさ。*5
Panasonicは早い段階からタッチパネル対応で一眼を開発しており、画面のUIもタッチパネルで情報を引き出しやすいようにカスタマイズされています。
このあたりはスマホを作っていたからこそのノウハウでしょうか。
最近カメラを始める人はスマホでカメラを撮ったことのある人がほとんどと考えると、そのスマホのような操作性というのはカメラ的にはNGであってもユーザービリティを考えた時には最適化されているのかもしれません。
4Kフォト・6Kフォト
ミラーレスの弱点の一つであった動体撮影時のブラックアウト問題ですが、Panasonicは動画でのノウハウを使うことによって解決させています。*6
4Kフォト・6Kフォトは動画を撮っているかのうような感覚で撮影を行い*7ブラックアウトは0。
撮影後のデータから自分の好きな場面だけピックアップして保存をすることができるので、初心者にめっちゃ優しい機能。
特に子供がはしゃいでいるシーンなどで普段動体撮影などしたことがなく、撮影に慣れていない方でも簡単に撮ることができます。
他のメーカーで高速連写機を購入するとかなり高額になってしまいますが、Panasonicの場合はエントリー機はもちろんコンデジにまで搭載されているので、たまにしか動きものを撮らないという人にとってはお財布に優しい。
コストパフォーマンスの高さ
Panasonicはコストパフォーマンスの高いメーカーだと思っています。
というのもカメラのリプレイス期間も長くなくコンスタントに新機種を発表しますし、新しい機能を早々に下位機種にも搭載させてきます。
4Kフォトとかそうですしね。
どのカメラも機能としてはしっかりしたものを載せてくるので*8「価格の割に機能が充実している」という印象を受けることが多いです。
また、発売してからの値落ちが激しいことでも有名で、新機種であっても数ヶ月様子を見たら数万円落ちていることはザラです。
GX7 Mark Ⅱ
G9 Pro
最新のG9 PRoですらこの価格の下落っぷりやばくないですか。
SONYもそうですがなぜかPanasonicは価格が落ちるのが早い。なぜなんですかね。
メーカーとしては嬉しくないでしょうが、ユーザーとしては非常に嬉しいポイント。
パナライカの存在
これは自己満足や所有欲の話になってしまうかもしれませんが、パナライカ(LEICA DGと頭に付くレンズ)の存在も忘れてはいけません。
パナライカ良いですよ。
Leicaっていう響きが良いんじゃないかって部分もあるんですが、実際写りも良いですしOLYMPUSのZUIKO Proシリーズとはまた一味違う写りを出してくれます。
OLYMPUS
驚異的な手ブレ補正
OLYMPUSといえば驚異的な手ぶれ補正機構が有名。
中には手ブレ補正に惹かれてOLYMPUSを選ぶ方もいるんじゃないでしょうか。
最近は各社手ぶれ補正を搭載しているレンズ、あるいはボディ内手ぶれ補正を載せているボディをリリースしているので手ぶれ補正自体は別に珍しいものではありませんがOLYMPUSの手ぶれ補正はその中でも随一のブレなさを誇っています。
手持ち長時間露光で普通に1秒とかできますから異常です。
OM-Dのデザインの良さ
OM-Dシリーズってデザイン良いですよね。
オールドカメラ感も出しつつデジタルにも対応している感じたまらないです。
OLYMPUSでオールド好きな人はPEN-Fとかも選択肢に入るし「カメラの性能も大切だけどデザインもこだわりたい!」って人はOLYMPUSを選ぶ傾向が強い気がします。
キレッキレの描写
OLYMPUSに限らずマイクロフォーサーズのボディは高画素機と言ってもせいぜい2,000万画素程度です。
しかしOLYMPUSのカメラとレンズで撮られてた写真はキレッキレの解像感を出している作例が非常に多いです。
硬い被写体(建築物・鉄・石など)を好んで撮る人はOLYMPUSで撮影すると幸せな気分になれる可能性がありますので作例を見てビビッときたら購入しちゃいましょう。
強いセンサーダスト除去
OLYMPUSはセンサーダスト機能が優れていることでも有名。
センサーダストの基本的な構造は同じマイクロフォーサーズであるPanasonicと変わらないのではと思いきやOLYMPUSの方がセンサーダストに強いとの話が多く聞かれます。
実際私はPanasonicを使っててダストが乗ったことありますし、そこまで強いという印象はありません。
レンズはできれば純正の組み合わせがベスト
マイクロフォーサーズはPanasonicでもOLYMPUSのレンズでも共通して利用することができるのでかなり選択肢はあります。
どちらのメーカーでも好きな方を使えるというのはカメラメーカーの中でもなかなか珍しい。
しかしまあメーカーとしては自分のレンズを使ってほしいわけで、当然のことながら純正レンズを使用した方が使える機能が多いです。
例えばPanasonicではボディとレンズの手ぶれ補正を組み合わせることで強力な手ぶれ補正をかけることが可能となりますが、OLYMPUSレンズを使うとボディ内手ブレ補正のみが適用されることとなります。
あと移りにも影響があるとかまことしやかに言われていますが個人的にはあまり実感はありません。
プラシーボ的なものでしょうか。
実はOLYMPUSよりも初心者向けなPanasonic
マイクロフォーサーズでのシェア率を考えるとPanasonicはOLYMPUSに対して圧倒的に負けています。
gyazo.com
※出典元:カメラ | BCN AWARD・BCN IT ジュニア賞
ミラーレスでのシェアはOLYMPUSがトップでCanonやSONYに勝っているレベルということもあり、Panasonicとのシェア率を考えるとかなり差があります。
宮崎あおいのCM効果もあったのかカメラを初めて使う方などにOLYMPUSは選ばれがちですが、実際機能的な面で考えるとPanasonicの方が初心者向けじゃないかなーっていうのが感想です。
いや、OLYMPUSも使いやすいんですけど、いわゆる家電メーカー的な発送がUIに組み込まれているPanasonicの方が操作しやすいというのは事実としてあると思うんです。
だから私がカメラを買う相談を受ける時に「小さい一眼カメラ欲しい」という要望だったらマイクロフォーサーズのOLYMPUSとPanasonicを勧めますし、割とPanasonic贔屓な感じでプッシュします。
でもデザインは写真を撮る楽しみにも直結するので「最終的にはデザイン好きな方で良いと思うよ」と若干投げやりになるところまでがテンプレです。
オールラウンドなPanasonicと実直なOLYMPUS
PanasonicとOLYMPUSの2つをそれぞれ表現するなら「オールラウンドなPanasonic」と「実直なOLYMPUS」でしょうか。
写真だけではなく動画にも幅広く活躍が期待できるPanasonicはレフ機でいうCanon的な存在であり、カメラとしての堅固性を重視して玄人のファンも取り込んでいるOLYMPUSはNikon的な立ち位置かと。
正直な所、私はデザインに関してはOM-Dの方が好きなのでガワはOM-Dで中身をPanasonicにしてほしい。
絶対に叶うことはありませんが。
PanasonicとOLYMPUSは同じマイクロフォーサーズということもあり似たように見えてしますがフタを開けると実は結構違っているわけで、それぞれの特長をしっかり把握して選ぶと使ってみた後のギャップが減るでしょう。
*1:ミラーレスなどで複数マウント運用しているなどは除く。
*2:「Panasonicって一眼作ってたんだ」と言われることよくあります。
*3:カメラ沼の住民は除きます。知らない人いないと思うので
*4:当然機能的な部分はかなり良い物を載せてるんですけど。α7Sシリーズはムービーする人めっちゃ使ってますし。
*5:なおSONYのUIは最悪の評価であります…
*6:データがJPEGオンリーとなるためRAWから追い込んでいきたい人からすると解決はされていませんが…
*7:というか動画です。
*8:当然物理ボタンの数や細かいカスタマイズ関係は上位機種の方が良いです
*9:一応Panasonicも防塵防滴ですがOLYMPUSほどハードな扱いをするのは怖いです…