突如発表されたRICOH GR IIIx (GR3x)
2021年の秋は新しいカメラやらレンズやらで非常に忙しいですが、なかでもサプライズ的な感じで急に発表されたGRIIIxには驚きました。
前に「違う焦点距離も需要があれば〜」みたいなこと何かのインタビューで言っていたような気もしましたが、本当に出るとは…と思った次第です。
GRIIIユーザーとしては買わずに入られない
私はGRIIIを発売日から使い続けていて、ここ数年のカメラの中では満足感は高く毎日持ち運んでいる機材です。
そんなGRIIIユーザーからすると焦点距離が違うGRIIIxは気にならないわけがない。
そして、私はGRIIIでクロップ撮影を結構しているので40mm相当で取れるGRIIIxはまさに欲しかったカメラです。
で、予約開始とともにすぐ予約を入れて発売日に到着しました。
my new gear… pic.twitter.com/FVYH0IhVBO
— わっち (@lojec) October 1, 2021
アクセサリー類はまだ発売されていないものもあるので、その辺りはまた追ってレビューなどをしたいと思いますが、土日で色々とGRIIIxを中心に撮影をしたので、ファーストインプレッション的なことをつらつら書いていきたいと思います。
GR IIIxとGR IIIと違いについて
GRIIIとGRIIIxの違いは正直ほぼないです。
下記の6点だけGRⅢと異なります。
RICOH GR III | RICOH GR IIIx | |
レンズ構成 | 4群6枚(非球面レンズ2枚) | 5群7枚(非球面レンズ2枚) |
焦点距離・F値 | 18.3mm (35ミリ判換算で約28mm相当) F2.8~F16 |
26.1mm (35ミリ判換算で約40mm相当) F2.8~F16 |
撮影距離範囲 | 標準:約0.1m~∞ マクロモード:約0.06m~0.12m |
標準:約0.2m~∞ マクロモード:約0.12m~0.24m |
クロップ | 35mm、50mm、オフ | 50mm、71mm、オフ |
外形寸法 | 約109.4(幅)×61.9(高)×33.2(厚)mm (操作部材、突起部を除く) |
約109.4(幅)×61.9(高)×35.2(厚)mm (操作部材、突起部を除く) |
質量 | 約257g(バッテリー、SDメモリーカード含む) 約227g(本体のみ) |
約262g(バッテリー、SDメモリーカード含む) 約232g(本体のみ) |
基本的な内容はほぼ同じで、焦点距離やサイズなどが主に目立つ違いです。
外観も全く違いがないためアクセサリー類で差別化をしないと間違いなく持ち運ぶ方を間違えてしまいます。
ケースはもしかしたら入りにくいものもある
私はGRIIIのケースで純正のGC-9を利用しているのですが、GRIIIのサイズにピッタリ合うように設計されているため、GRIIIxを入れるとかなりきついです。
上の画像の位置くらいでGRⅢの時と比べて明らかにきつくなります。
頑張れば入らないことはないですが、ケースが壊れそうなのであまり入れてたくないです。
なおGRⅢxが入る純正ケースは10月下旬発売となります。
テレコンの発売がずれるのはわかるけど、ケースについては同時発売してほしかったですね…
おそらくサードパーティでサイズに余裕があるものでしたら、兼用できると思いますが、ピッタリサイズで作られているものは入らないケースもあると思います。
サイズをしっかり確認してからの購入をおすすめします。
リング部分が固くなっている
GRIIIのリングは比較的緩く、多くのGRユーザーがリングを紛失していました。
検索をするだけでリングを失くした方は結構出てくるので、実際にはもっといるんじゃないかなと思います。
私自身、このリング部分の緩さはちょっと気になるというのは思っていたのですが、今回のGRIIIxではかなり固くなっています。そしてやや厚くなってる。
リコーのショールームでテレコンをつけた時にガタつきがないなと思ったのは気のせいじゃなかったみたいです。
リングは力を入れてグッと回さないと動かない仕様となっているので、リング紛失率は減るんじゃないかなと思います。
地味な改善ですが良い。
GRIIIを持ってるのにGRIIIxを買い足した理由について
私はGRIIIを持っていますが、今回GRIIIxを買い足しました。
2台運用というやつです。
人によっては同じようなカメラ2台も持って勿体無いと思うかもしれませんし、私自身やや贅沢な使い方だと感じています。
簡潔にまとめると買い足した理由は下記の3点です。
28mmの気分じゃない時がある
「今日はGRIIIだけ持って外出したい気分だけど、28mmの気分ではない」という時があります。
そのような時はクロップをして35mmや50mm相当にして撮影することがあったのですが、そもそも焦点距離が少し長めのGRがあればクロップをしなくても済みます。
テレコン&クロップの中望遠域の利用
家族や友人と一緒にいる時に28mmだと漫然とした記録写真に留まってしまうことがありますが、40mm相当でさらに中望遠域までクロップ耐性があるなら、少し違った雰囲気の写真も残すことができます。
また、中望遠域の気軽なスナップ撮影はかなり期待しています。
ここ最近中望遠域でのスナップ熱が高まっていることもあり、テレコンやクロップを利用した焦点距離は是非使ってみたいと思っています。
ただ、SIGMAから出ている90mmも相当気にはなっているので、どちらを先に買うか非常に悩ましい限りです。
テレコンの発売は11月予定とのことなので、頭を冷静にして買う順番を決めようと思います。
GRシリーズは長く使える
かなり頻繁に機材の入れ替えをする私からするとGRIIIを2年以上使っているのはそれだけでも唯一無二の存在なんだなと感じています。
高性能なコンデジというとFUJIFILMのX100シリーズやRX1シリーズ、Leica Qシリーズもありますが、ズボンやジャケットのポケットにスッと入るのはGRだけです。
GRシリーズはGRIII以前の機種でも現役で撮影に使い続けている方も多いですし、壊れない限り長期間使い続けられるカメラだと思っています。
今後GRⅣとかが発売されたとしても、多少画素数がアップするとかAFが良くなるとかくらいかなと思うと、今のGRⅢの性能で十分です。
仮に4,000万画素のGRとかが出てきたら買い換えるかもしれないですが、少なくとも次のGRでの実現は厳しいと思うので、10年戦士くらいの気持ちで持ち続けられそうです。
GRIIIxの作例
発売してから日も浅いですが200枚くらいスナップ撮影で使いましたので何枚か写真を載せさせていただきます。
Lightroomでは読み込み自体はできるものの、プロファイルはまだ来ていないのでRAWで撮影をしてボディ内現像をしたものです。
イメージコントロールを適用させただけで他の設定は編集してないです。
結論から言うと絵作り自体はGRIIIと変わらないため、開放からビッシビシに写ります。
GRシリーズはモノクロにしたくなる。
GRⅢxもキレッキレで写るので、モノクロでパキッとした表現が良いです。
パキッとした表現としてはこのように建築関係での写りも相変わらず良いです。
特に何だという被写体ですが、光の入り方が良い感じだったので撮った写真です。
GRⅢもそうですが、GRⅢxも差し込んでくる光の表現が柔らかくエモい。
40mmになったということで開放で撮影をすると結構ボケ感を出すことができます。
GRⅢだとボケ感を出したい時は更にぐっと被写体に寄っていましたが、GRⅢxなら自然な距離感撮れるので使いやすい。
そしてGRシリーズで何気に稼働するシーンが多いのが食事。
スマホで撮る方が楽ですが、音を出したくない&ちょっと良い感じに写したい時はGRを積極的に使います。
28mmだとマクロを使うことが多かったですが、GRIIIxなら画角的にマクロモード使わなくても収まり良く写ります。
テーブル全体とかならGRIIIですかね。
特に理由もなく泉岳寺周辺を歩いていたのですが、あそこは結構飛行機が低空飛行しているんですね。
上の写真は飛行機の音がしたのでぱっと空を見て撮った写真なのですが、GRⅢでは絶対に撮ることができないものです。
71mmまでクロップをしているからこその構図となるので、このような表現ができるようになるのは表現の幅が広がるので今後の使用が非常に楽しみです。
GRⅢxもクロップをしても非常に良く写っています。相変わらずレンズが良い。
GRIIIとGRIIIxどっち買えばいいんだい問題
私みたいに既にGRⅢを持っている人は基本的に買い足しする方が多いと思いますが、これからどっちか一つを買いたいと悩んでいる方も多いのでは。
主観的な話になるかもしれませんが、どっちを買えばいいんだい?ということについて書きます。
焦点距離的な話が中心かも…
GRIIIがいいよという人
記録写真が中心という方はGRIIIが良いです。
28mmという画角はやや漫然とした感じになることが多い反面、映る情報が多いことからその場の雰囲気を残しやすいです。
あと、広角側をカバーしたいという方。
ワイコンをつけることで20mm相当まで広く写せるようになるので、一眼で広角側のレンズは持っていないけど、簡易的にカバーできるシステムがほしいならGRIIIがおすすめ。
あと、価格的な話ですが、発売から時間も経過しているので中古の在庫もそれなりにあります。
新品にこだわりがない方は中古で少し安く買うのもいいでしょう。
GRIIIxがいいよという人
標準域が好きな方。これに尽きると思います。
私は好きな焦点距離が35mm〜40mmくらいなので今回のGRIIIxはドンピシャでハマりました。
また、40mmという画角は見せ方によっては広角っぽくできますし、ボケ感も28mmより立体感が出るので、ある意味万能な使い方ができます。
スナップだけで使うだけではなく、ポートレートの遊び的なサブ機で使いたい人にも良いかもしれません。
GRIIIの時もそうでしたが、発売直後に買うとやや割高感は否めないため、価格がネックになっている方は少し時間を置いてから購入検討するといいでしょう。
既に感じた2台持ちのメリット
2台持ち色々撮影をした結果、既にいくつかのメリットを感じましたので紹介します。
単焦点2つがポケットに入る
GRシリーズはいわばAPS-Cの単焦点レンズなわけで、広角側・標準域の2つが両方ともポケットに入るサイズというのはめちゃくちゃ便利。
一眼のようにレンズ交換をする必要もないので、使いたい方を手に取ってすぐ使い分けをすることが可能です。
さらにいうと一眼でレンズを使い分ける場合はレンズの重さ+カメラボディの重さが合計されますが、GRIIIの2台持ちなら約500gちょっと。
一眼ではどう足掻いても到達できない領域の軽さです。
片方を充電器として使う
例えばGRIIIxで撮影をしていて、バッテリーがなくなってきたという時に、GRIIIのバッテリーと入れ替えて、使わない方のGRをUSB-Cで充電することで、充電器を持ち歩く感覚で使えます。
「バッテリー複数買えば問題ないだろ」と元も子もないツッコミがあるかもしれませんが、これは意外と便利に感じました。
今まで充電切れそうな時は充電器とGRIIIを繋いだまま撮影とかしていたので。
あえてコンデジを使いたいと思わせてくれるGR
「スマホのカメラはすごい」と言われ続けてもう数年経ちますが、ここ1〜2年でさらに進化のスピードが速くなった気がします。
光学的な部分での向上はさておき、ソフトウェアでの進化が目まぐるしいので、それっぽいボケ感はスマホでも生み出せますし、流行りのHDR処理も楽々行えます。
そうなるとコンデジは真っ先に購入対象外になりそうなジャンルなのですが、GRシリーズに関しては未だに根強い人気ですし、私自身使っていてその人気に納得しています。
いわゆるスタンダードなコンデジは生き残りが厳しいと思いますが、GRのように尖ったコンセプトのコンデジは今後もファンを増やしていくことでしょう。
今後もGRの進化には期待したいところです。