モバイル回線は再び戦国時代に入っている
格安SIMが話題となってからかなり時間も経つので市民権を得始めています。
それに伴い様々な企業が格安SIMに参入してしてきて普段から情報をウォッチしている人以外は「会社が多すぎてわかんねぇ!」という状況になっています。
最近は新規参入は落ち着きましたけど結構種類ありますよね。
で、業界的に落ち着いたのかなと思ったのですが、ここ最近また界隈で新しい動きがあります。
それは格安SIMでメインとなっていた電話回線ではなくデータ通信専用SIMです。
今話題のタイプは無制限タイプ
データ通信専用SIMというので有名所でいうとWiMAXとかでしょうか。
あるいはYmobileとかですかね。※1元々はEMOBILE。私は一番最初に利用したモバイルルーターはEMOBILEでした。
その背景としては動画などのコンテンツや音楽のストリーミングサービスなども普及いていることもあり、電話回線のデータ容量ではまかなえなくなってたり、タブレットなどを持ち歩いて複数端末を利用する人が増えていることもあげられると思います。
今まで私はMVNOが出しているデータ通信プランで大容量のものを契約していたのですが、それでも10GB・20GBと増えていくと金額もそこそこいきます。
それにヘビーユーザーからすると20GBくらいはわりと普通に超えますし、外出先で作業をする機会が多い月は50GBに行くこともあります。
そのため大容量のプランを色々と探していまして、最初はFUJI WiFiにたどり着きました。
そしてその後しばらくFUJI WiFiを使い続けていたのですが、最近はKING WiFiというサービスに変えています。
FUJI WiFiのときは100GBプランを契約しており、KING WiFiは無制限プランです。
というか無制限プランしかありません。
このKING WiFiがちょっと話題になる前から同じような無制限プランのモバイル回線サービスは増加していまして、今ではそこそこ選択肢があると思います。
正直FUJI WiFiの100GBプランでも使い切るということはなかったのですが、心理的に「無制限」というのは楽ですね。
出先でも気軽にYou TubeやNetflix、アマゾンプライムビデオを観ることができますし、何ならコンテンツのダウンロードもバンバン行えます。
更に先を行くサービスがクラウドSIMテクノロジーを使ったモバイル回線
今までの無制限プランは回線がほぼ決まっていた
上記のようにいまや無制限プランを掲げるサービスは珍しくなくなったわけですが、基本的にSoftbank回線を利用することが多いです。
私が契約をしたFUJI WiFiもKING WiFiもSoftbank回線を利用しています。
今までSoftbank回線であまり苦労をしたことはないですが、やはりDocomoやau回線と比べると若干貧弱なイメージはあります。
実際、地域によって繋がりにくさは未だにあるようです。
そうなると別回線としてDocomo系かau系の回線を追加で契約しなくちゃいけないかなーって考えちゃうんですけど、SIM一つでそんな悩みを解決してくれるのがクラウドSIMという技術です。
クラウドSIMテクノロジーって何?
クラウドSIMとは通信をするための情報をクラウドサーバーで管理をして状況に応じて端末に必要な情報を端末にダウンロードをするSIM(技術)のことです。
通常のSIMであればSIMカードの中に入っている情報は一つだけとなりますが、クラウドSIMの場合はSIMは固有の情報がSIMに書き込まれているのではなく、回線を利用するための情報自体は仮想サーバーに保管されているという状態です。
つまりクラウドSIMが1枚入っているだけで、国内で色々と回線を切り替えたり、海外旅行に行ったときに自動でその国のキャリアに切り替えることができるので、SIMの抜き差しをするという行為がなくなります。
あれ地味に面倒ですからね。
ちょっと取り出しにくいケースに入れてて、SIMを差し替えなきゃいけなくなった時に無理やり取り出して端末を傷つけちゃうとかもありますし。
クラウドSIMテクノロジーのメリットとデメリット
クラウドSIMのメリット
クラウドSIMのメリットとしては繰り返しになりますがSIMの差し替え作業がいらないということが挙げられます。
2つ目のメリットとして一つの契約で複数の通信会社の切り替えが可能ということです。
大きなメリットとしてはこのあたりですが、都度SIMを発行したりする手間などもなくなることを考えると普段の利便性がよくなるだけではなく、細かい事務的なストレスがなくなるのは良いですね。
クラウドSIMのデメリット
基本的に運用面ではメリットが多いのですが、個人的にデメリットとしてWiFiルーターの端末を自分の好きなものを選べないサービスが多いということが気になります。
機能的に特殊だからなのか、基本的にルーターごと貸し出すプランが多いようなので、自分の好きなモバイルルーターを使いたいという自由度は少なくなる可能性があります。
もしかしたら今後はそのあたりもクリアしてくるのかもしれませんが。
あとはまだサービス自体があまり普及しきっていないので選択肢が少ないということです。
ただ、これは時間が解決してくれるかもしれないので後々の展開に期待します。
代表的なサービス
まだ数は少ないですが最近は少しづつクラウドSIMのサービスが増えてきましたので、代表的なものをいくつか紹介します。
どんなときもWiFi
CMでガンガン流れているので名前だけは聞いたことがあるかたはいるんじゃないでしょうか。
CMの内容では商品名だけとりあえず伝えているだけなので、パッと聞いた感じでは他のモバイル回線プランと何が違うのかよくわかりませんが、このサービスはクラウドSIMを利用したものとなります。
月額は3,480円からとリーズナブルでDocomo、au、Softbankの3回線を無制限で使えるということもあり、スペックはかなり良さげです。
貸し出し端末はD1というルーターです。
結構スタイリッシュで見た目は良いです。
ただ、同時接続台数が5台までなのでガジェクラは厳しいかもしれません。
スマホ複数台とタブレット、ノートPCなどを考えると5台同時接続の枠はあっさり超えてしまいそうです。
モバイル専用の回線としてならギリギリ大丈夫かもしれませんが、固定回線としても利用したい方はあっさり限界数を超えてしまう危険性があります。
限界突破WiFi
限界突破WiFiって名前がまず凄いですよね。
インパクトが強いです。
このサービスはエックスモバイルが展開しており、どんあときもWiFiのように3大キャリアにつなげることができ、海外の回線にも対応しています。
レンタルできるWiFiルーターですが、一見スマホに見えるデザインです。というか後述しますがスマホです。
どんなときもWiFiのルーターと違う点は最大同時接続数がこちらの方が多いこと最大の利用時間が長いことです。
ヘビーユーザーからすると台数と利用時間の長さは重要なので、ここだけでも限界突破WiFiに少し惹かれてしまします。
また、この端末はGPSと翻訳アプリを内蔵しているようなので、ルーター以外としての使い方もできます。
とは言ってもそんな使い方する人いるのか?と少し疑問ですし、使えるならスマホでやった方がアプリも情報量も多いと思うので基本的におまけ程度に考えればいいでしょう。
変なSIM
名前からしてアクが強そうですが、実際にシステム自体もかなり変わっています。
でも画期的。
変なSIMは現在持っているSIMカードの上から更にSIMを貼り付けることでクラウドSIMの機能で端末を認識させるというもの。
どういうことだってばよ…と初めて聞いたときは困惑しましたが、これはこれで面白いです。
変なSIMに関しては海外に行く方を中心に展開をしているようなので、例えば長期旅行で国をまたぐようなスケジュールを組んでいる場合は便利かもしれないですね。
料金プランは月額ではなく1日、8日、15日でのスポット料金となります。
8日プランでしたら海外に長期旅行行くときとか丁度いいですね。
1日プランもあるのでアジア圏で日帰り旅行するみたいな行動はにはおすすめかも。
ちなみに、一応貼り付けるタイプ以外の通常のSIMカードと同じプラスチックタイプもあるとのことです。
Jetfon
ちょっと経路が違うのですが、クラウドSIMの機能を使っている面白い商品があったので合わせて紹介いたします。
jetfonというのはモバイル回線の名前ではなくスマートフォンの名前です。
今のところラインナップはjetfon P6とjetfonの2つがあるようです。
どちらもそこまで価格は高くなく、スペックもそこそこあるのでコストパフォーマンスは悪くないと思います。
jetphonは搭載されているSIM自体がすでにクラウドSIMなので、新しくクラウドSIMの契約を新たに結ぶ必要がないというメリットもあります。
ただ、jetfonで気をつける点としては海外での利用を前提として回線の設定がされているので、基本的には海外出張や多い方とかに向いている商品ですね。
料金プランは月額単位ではなく1日単位で金額が加算されていくので個人向けというより法人で海外出張の時用に購入しておくという感じでしょうか。
単純にクラウドSIMを使うということに焦点を当てるとどんなときもWiFiや限界突破WiFiの方が国内キャリアに対応しているのでお得に感じますが、会社だとランニングコストどれくらいかかるの?って部分は強く意識すると思うので、スポット的使える海外出張用の連絡端末と考えるとjetponは良さげです。
変なSIMとどう差別化をするかという点では、こちらは端末丸ごと渡してしまえばOKですが、変なSIMはSIMに貼り付ける作業や差し替え作業が発生するので、そのような作業を好ましくないと感じる企業にはjetfonの方が良いでしょう。
変なSIM + 海外連絡用端末となると管理が2倍になりますし、情シス的には助かるかもしれません。
eSIMとクラウドSIMって違うの?
クラウドSIMと同じようなSIMでeSIMというものがあります。
この2つは似ているですが、微妙にシステムが違うのでややこしい。
クラウドSIMは一つの会社と契約をすることで複数のプランが選べるようになるのですが、eSIMは使いたい会社と個々に契約をする必要があります。
そのため、回線を厳選して使いたいという方はeSIMが良いですが、契約した内容を個々に管理するのが面倒というかたはクラウドSIMのプランの方がいいでしょう。
とはいえ、eSIMの対応かモバイル回線を契約できる会社は少ないので、今のところeSIMのメリットはSIMの切り替えが必要ない程度ですかね。
MVNOではIIJmioがフルMVNOになりましたので、他のサービスも追随してくれると嬉しいです。
MVNOは時期によって回線の安定度が変わるのでしょっちゅう乗り換えをするんですが、その時に発生するSIMの送付が地味に面倒です…
ちなみにiPhoneはiPhone XS、XS Max、XRからeSIMに対応しています。
どんなときもWi-Fiや限界突破Wi-Fiのサービス内容比較など
今回いくつかのサービスを紹介させていただきましたが、クラウドSIMを国内で使う前提であればどんなときもWiFiか限界突破WiFiの2つになると思います。
とりあえず簡単にこの2つのサービスの内容をまとめるとこんな感じ。
どんなときもWiFi | 限界突破WiFi | |
料金 | 3,480円+税 | 3,500円+税 |
対応エリア | Docomo、au、Softbank、海外131カ国対応 |
Docomo、au、Softbank、海外107カ国対応
|
バッテリー持ち | 12時間 | 15時間 |
同時接続数 | 5台 | 8台 |
サイズ | 127 x 65.7 x 14.2 mm | 152.9 x 74.2 x 8.5 mm |
重さ | 151g | 162g |
価格に関してはほぼ差はありませんが、それ以外の点では微妙に違いがあります。
どんなときもWiFiは131カ国対応なのに対して限界突破WiFiは107各国なので少し少ないです。
しかし、ルーターの基本スペックはバッテリー持ちと同時接続数ともに限界突破WiFiの方が上回っています。
限界突破WiFiの端末ですが、公式サイトに詳細スペックが載っていなかったので色々と調べたところJetfon P6のOEMを使っているようです。
普通にスマートフォンなのでどんなときもWiFiのD1より若干重いです。
口コミなどを見ると結構シビアな感想が多い
どちらも似たようなスペックとなるのでこれから契約を検討しているという方はネットで情報を確認すると思いますが、称賛と酷評の記事・口コミで混乱すると思います。
どうやら繋がっている時はそこそこ速いけど回線の切替時に繋がらない時間が発生したり、ブツブツと回線が切れて不安定になったりするなどの不満が多いようです。
これは限界突破WiFiの方に多く見られるので、繋がりやすさという点、というか限界突破WiFiはJetfon P6と同スペックなので、こいつの無線周りの性能が良くないことが原因なんでしょう。
最初調べていた時はバッテリー容量と同時接続数で限界突破WiFiに若干傾いていましたが、回線の安定度やサッポーと周りはどんなときもWiFiの方が良さそうです。
違約金は結構高い
どんなときもWiFiと限界突破WiFiどちらも違約金がかなり高いです。
MVNOだとデータ専用SIMは解約金0円という会社も多いため、気軽に安定した回線へ乗り換えることができますが、違約金が高いと仮に不満がめっちゃあったとしても我慢して使い続けるしかないという選択も出てきます。
どんなときもWiFi | 限界突破WiFi |
0〜12ヶ月目19,000円
|
– |
13〜24ヶ月目14,000円 | ~24ヶ月目 18,000円 |
26ヶ月目以降9,500円 |
28~39ヶ月目5,000円
|
最悪でも2年間は使わないと結構な金額取られます。
このままどちらのサービスもどんどん成長していって回線が強固になってくれれば不満もないでしょうけど、IT業界の2年間って結構動きは激しいですし、もしかしたら新しい会社がクラウドSIMんのサービスに参入してくるかもしれませんし、どんなときもWiFi・限界突破WiFiともにもっと良いルーターのレンタルプランが開始するかもしれません。
そうなると魅力的に見えるクラウドSIMサービスですが、ちょっと躊躇したくなる気持ちも芽生えてきます。
「基本的に契約をした回線はしばらく使い使い続けることが多い」という方はあまり問題ないかもしれませんが、そうでない方はちゃんと上記の解約金を把握した上で契約ンに踏み切るのが良いと思います。
クラウドSIMテクノロジーは今後デフォルトになってほしい
最初にモバイルルーター存在を知った時は「なんて便利なサービスなんだ!」と思ったものですが、今やそのようなサービス自体は普通ですし、更にもう一歩先のサービスへと進化している途中のようです。
SIMカードに関してはプラスチックで毎回物理カードを作るコストなどを考えるとクラウドSIMという形を取ることが提供側もユーザー側もメリットが多そうです。※2冷静に考えて提供側の管理コストはクラウドSIMの方がサーバー管理費とかで高いのかもと思ったり。そのあたり詳しくないのでなんとも言えないですが。
今のところまだクラウドSIMのサービスは始まったばかりなのでそこまで選択肢がない状況ですが、今後はこのスタイルがデフォルトになっていくのではないかと考えています。
というかそうなってほしい。
SIMの差し替え作業本当に面倒なんで。
ただ、まだ発展途上中のサービスという印象が強いので、個人的には無理に今あるクラウドSIMサービスの回線へ以降をする必要はないかなと感じています。
ネットで検索をすると称賛記事が結構多くありますが、本当に必要なのかというのはしっかり吟味するのをおすすめします。
クラウドSIMでなくても大容量プラン・通信無制限のデータ通信プランを展開している会社は複数あるので、もし自分の生活圏内がSoftbank回線で全然問題ないというのであればそっちの方が良いかも。
10GB前後でよければMVNOでも選択肢広がりますのでDocomoやau回線のプランも選べるようになります。
クラウドSIMサービスは期待しているので今後の発展を願っていますがどうなることやら。
まずはとっかかりとしてCMをバンバン流して認知してもらうことからスタートですね。